ルリ子「タイガーさん、少しお話がしたいの」
タイガー「いいですよ。では喫茶店にでも」
ルリ子「いえクラウンホテル519室よ。直人さん!」
タイガー「えっ!」
クラウンホテルの519号室。夕日が優しく窓から差し込む部屋で黙って見つめ合うタイガーマスクとルリ子。
タイガー、いや伊達直人は意を決したように虎のマスクを脱ぎ去り、その素顔をルリ子に見せる・・!
ルリ子「直人さん・・!」
直人「アハハ・・アハハハハ!これが、これが長年三枚目を演じて来た伊達直人がルリ子さんに正体を見せた瞬間だ!アハハハハ!」
ルリ子「直人さん!」
ルリ子は思わず直人の厚い胸に飛び込む!そのルリ子をシッカリと受け止める直人。恋人たちの熱い抱擁に519号室の時が止まる・・。
直人「・・これでお互いに気が済んだじゃないかな。俺はグレートとの試合にきっと勝ってみせる。さあ子供たちが待ってる。俺は送らないよ?」
ルリ子「直人さん・・」
ルリ子が静かに部屋を出ていくのを背を向けながら見送った直人は全身から絞り出すように呟く。
直人「ルリ子さん、許してくれ!俺は引き裂かれる思いで君の面影を振り払う!俺は善意の人全ての敵タイガー・ザ・グレートを必ず倒す!」
とうとう直人とタイガー・ザ・グレートの決戦を止める事が出来なかったルリ子は、悲しみと絶望の中、1人街を彷徨する。その時、不吉にもルリ子の靴のヒールが折れ、ルリ子はその場に崩れ落ちる!
ルリ子「あっ!」
冷たい路上に横たわったルリ子は溢れ出る涙を拭おうともせず、その場で空を見上げ叫ぶのだった。
ルリ子「直人さん・・お願い!・・死なないで!」
嗚呼、いま全ての運命、全ての怨念、そして全ての愛に決着が着こうとしている!タイガーマスクvsタイガー・ザ・グレート。決戦!“虎の穴”の時が迫る!!
Farewell of lovers.Memorable scene from Tiger Mask.