Quantcast
Channel: 超級龍熱
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1862

ツインから“正宗詠春拳傳奇系列”作品、洪金寶主演『燃えよデブゴン10/友情拳』発売!

$
0
0
さて、先日も触れましたがツインさんの「Happy the Best!」シリーズから我らがサモ・ハンこと洪金寶導演&主演作品『贊先生與找錢華』(78)こと『燃えよデブゴン10/友情拳』が良心的な価格の廉価版にして、日本語字幕付きDVDで発売となりました。私も今回ツインさんのご好意で本作をサンプルDVDで早速鑑賞出来たのですが、いや〜何度観てもこの”『燃えよデブゴン10/友情拳』こそが70年代香港クンフー映画の大傑作である!と改めて痛感させられましたね。
サモ・ハンが嘉禾公司でこの『燃えデブ10』を撮ろうとしていた70年代後半の香港映画界は、邵氏兄弟公司で劉家良が『陸亞采與黄飛鴻』(76)や『少林寺三十六房』(78)などで劉家輝演じる主人公の練武シーンを詳細かつユニークな特訓シークエンスで構成して見せ、片や思遠影片公司では袁和平と成龍が酔拳という奇抜な武術をコミカル・タッチな練武シーンで構築するなど、それぞれが独自のスタイルのクンフー映画を発表し成功を収めていました。
そこでサモ・ハンは香港で特に知られた南派武術の詠春拳をテーマに、劉家良や袁和平たちが披露した主人公の詳細でユニークな特訓シーンをさらに深く踏み込んで描きつつ、さらにそこにサモ・ハン映画永遠のテーマである実力派武打星たちによる“リアル・ヒッティング”描写をも導入した渾身のクンフー映画を取り上げます。
それが“詠春拳王”と呼ばれた詠春拳正統伝承者である梁賛と、その弟子である找錢華こと陳華順の師弟の絆を描いた『贊先生與找錢華』でした。実は当初サモ・ハンは主人公の梁賛には当時邵氏兄弟公司で活躍していた“洪拳マスター”戚冠軍をキャスティングしようと考えていましたが、残念ながら戚冠軍が邵氏兄弟公司との契約などの諸事情があり断念。
代わりに同じく邵氏公司出身ながら本格的な武術経験がなくサッカーや重量上げの選手だった梁家仁を抜擢します。そしてこの梁家仁が演じた梁賛先生こそが梁家仁自身にとっての武打星人生における代表的キャラクターとなるのでした。
他にも李海生、楊成伍、楊威、劉家榮、馮克安、錢月笙、石天、張敏婷など錚々たる面子が揃う中、サモ・ハンはこの映画で梁賛と共にもう1人の主人公である找錢華にある韓国人武打星を起用します。それはサモ・ハンの導演デビュー作品『少林寺怒りの鉄拳』(77)に坊主頭でチラッと顔を見せていた武打星でしたが、サモ・ハンはその韓国人武打星の脅威的&怒涛のテコンドーの連続蹴りに惚れ込み、その韓国人武打星を找錢華役に起用します。
そう、その韓国人武打星こそが“韓国発電所”カサノヴァ・ウォンこと卡薩伐(即:王虎)でした!
こうして香港の嘉禾公司のスタジオと韓国現地にロケーションを敢行して撮影が始まった『贊先生與找錢華』こと『燃えデブ10』は最終的に1年2ヵ月の撮影期間を経て完成を見ました。そしてその『燃えデブ10』の劇中で展開される楊成伍vs卡薩伐の韓国武打星同士のキック合戦、コミカルながらも感動的な找錢華の梁賛への弟子入りシーン、ジックリと時間をかけ詳細に描き込まれた梁賛と找錢華の詠春拳の練武シーン、壮絶にして悲壮感漲る梁賛の謀殺シーン、そしてクライマックスのサモ・ハン演じる肥春vs楊威の竹薮の闘い、張敏婷vs孟海&錢月笙(彼が梁賛の弟子と2役兼任なのはご愛嬌♪)、卡薩伐が楊成伍や李海生ら凄腕用心棒を敢えて得意の蹴り技ではなく梁賛直伝の詠春拳の電撃連打で撃破する圧巻の拳技ファイト、そして今でも世界中のクンフー映画ファンの間で“伝説の名シーン”として語り継がれる地蟷螂の達人に扮した馮克安に卡薩伐が放った大回転後ろ廻し蹴りが叩き込まれる衝撃のラスト!・・・と、まさに圧倒的なまでの完成度のクンフー・ファイトで、ここにサモ・ハン自身にとっての“正宗詠春拳傳奇系列”第1弾にして大傑作の1本が誕生したのでした!!
このラストの卡薩伐の大回転後ろ廻し蹴りの撮影エピソードに関してはサモ・ハン、卡薩伐、馮克安のそれぞれ3人の当事者が以下のような証言を残しています。

サモ・ハン「あのラストの卡薩伐の飛び蹴りのシーンは確か7テイクぐらい繰り返し撮ったかな。卡薩伐なぁ、アイツの蹴りはそれは見事だったよ!」

馮克安「卡薩伐かぁ。彼ら韓国人の蹴りは下手すりゃ人が死んじまうぐらいの凄い威力だったよ。卡薩伐は広東語が殆ど喋れないから俺とは片言の英語でコミュニケーション取ってな。でもあのラストの飛び蹴りのシーンは、最初のテイクで卡薩伐の蹴りが思い切り俺の喉に入ってなぁ(涙)。もう暫く呼吸が出来なかったよ!」

卡薩伐「あの『贊先生與找錢華』は私にとって本当の意味での香港映画出演で、私も軍を除隊したばかりで自分のテコンドーのテクニックがまさに最高潮の時期でした。今もう1度あの飛び後ろ蹴りをやって見ろ!と言われても恐らく出来ないと思います。私は洪金寶導演の作品に出演できた事を心から誇りに思っています!」

サモ・ハンはこの『燃えよデブゴン10/友情拳』での成功を経て、81年に“正宗詠春拳傳奇系列”第2弾となる若き日の梁賛を元彪が演じた『ドラ息子カンフー』(81)を発表し、香港映画における詠春拳系列作品の第一人者となりました。
そしてその後長い年月を経て、葉偉信&甄子丹による新たなる“詠春拳傳奇系列”『イップ・マン/葉問』(10)の劇中で、サモ・ハン演じる洪家拳の達人が馮克安や羅奔ら香港中の武術家たちと席を並べ見守る中、主人公葉問に扮したドニー兄貴は彼らに向かってこう挨拶します。
「皆さん、はじめまして!私は佛山から来ました葉問です。流派は詠春拳、そして私の師は陳華順です!」この瞬間、遥か昔にサモ・ハンが入魂の“正宗詠春拳傳奇系列”として撮った『贊先生與找錢華』と、そのサモ・ハンが長きに渡って守り続けた香港クンフー映画の灯を受け継いだドニー兄貴主演による同じ“詠春拳傳奇系列”『イップ・マン/葉問』という2つの作品世界が太く確かな絆で結ばれたのでした。
サモ・ハン、梁家仁、そして卡薩伐ら本物の実力を持った武打星が気迫漲る詠春拳ファイトを見せる『燃えよデブゴン10/友情拳』、是非ともこの機会に多くの皆さんに観て頂きたい1本です。ちなみにこちらが『燃えよデブゴン10/友情拳』の詳細データです→http://dvd.paramount.jp/search/detail.php?id=8222
最後になりましたが、今回この『燃えよデブゴン10/友情拳』DVDを快くご提供下さったツインの加畑さんに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました!

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1862

Trending Articles