ローパー「やはり俺には越えられない一線があるようだ」
ハン「フン!私の思った通りだな?ボ〜ロ!」
『燃えよドラゴン』(73)の終盤、ラストの李振強☓ハンのセミファイナル的なファイトシーンがこの広場でのローパー☓ボロです。
このジョン・サクソンが楊斯扮する怪力ボロと一騎討ちを展開するシーンは、それまでB級西部劇やアクション映画で平凡な殴り合いアクションしか見せて来なかったサクソンとはまるで別人のような切れ味鋭くリズミカルなファイトシーンに仕上がっています。
勿論それは本作『燃えよ〜』のアクション監督を担当した李小龍ことリーさんがこのローパー☓ボロのアクションを構築したからです。
特にローパーがボロの強烈な腕ひしぎ十字固めを足に噛み付いて脱出し、そこから軽快なステップワークでボロを撹乱しながら顔面に何度もパンチを打ち込み次第にボロを精神的かつ肉体的に追い込んでいく流れは、まさに『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)の陳眞☓ペドロフの日本庭園の決闘シークエンスの再現です。
但しそれは決して手抜きやコピーではなく、リーさんのサクソンに対する心からの親愛の気持ちが敢えて自分の代表作のベストファイトのエッセンスを込めたシークエンスをサクソンに進呈したと考えるべきでしょう。実は『燃えよドラゴン』出演のオファーが来た時、サクソンは自分がこの映画に出演する事が作品の“格上げ”になる、と信じていました。
しかし香港を訪れ李小龍と言うアジアのスーパースターと撮影を共にする内にサクソンはその自分の考えが間違っていた事を悟るのでした。
だからこそ本作『燃えよドラゴン』劇中でのローパー☓劉永、ローパー☓ボロの2大ファイトが作品公開から約50年の月日が経った今も決して色褪せる事なく、俳優ジョン・サクソン生涯のベスト・ファイトとして私たちの記憶に刻み込まれているのです。
Roper against Bolo from Enter the Dragon.Without doubt,John Saxon's best fight ever with his entire film career.And needless to say this fight sequence was staged by Bruce Lee.