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亡父の出棺は明日正午!菊地凛子主演『658km、陽子の旅』7月公開!

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さて、昨日は熊切和嘉監督、菊地凛子主演『658km、陽子の旅』(22)を試写で観て来ました。心に深く突き刺さる秀作でした。

青森出身で42歳フリーターの主人公陽子(菊地凛子)は、ある日従兄の茂(竹原ピストル)から20年以上断絶状態の父(オダギリジョー)の死を知らされる。父の出棺は明日の正午青森で。陽子は渋々茂たち家族と車に同乗して青森に向かいますが、途中のドライブインで茂の子供にアクシデントがあり、陽子は茂たちと離れてしまいます。所持金は僅か2000円弱。

ここから陽子の明日の正午までに青森に着くための過酷な旅が始まります。唯一の方法はヒッチハイク。陽子の前に身勝手なシングルマザー、人懐っこい女の子(見上愛。印象的な快演♫)、下劣な男性ライター、心優しい老夫婦と様々な人間が現れ、その度に陽子は戸惑い、傷つき、そして人の優しさに涙しながら少しずつ亡き父が待つ故郷の青森に近づいていきます。

そしていよいよ出棺当日正午ギリギリになり、遂に誰1人陽子を車に載せてくれない土壇場となった時、追い詰められた陽子が取った行動とは?そして陽子は亡き父と最後の別れが出来るのか?もう一度父親の手を握り締める事が出来るのか?

ハリウッドで活躍する菊地凛子は本作が意外にも日本映画単独初主演。映画の序盤は生気がなく無表情で能面のようだった陽子が、青森に向かう道中のヒッチハイクで様々な人々と出会う度に少しずつ女性らしさ、人間らしさを取り戻す事で、かつての陽子が忘れかけていた内面から溢れ出る美しさを甦らせていく道程は観客の胸に強く迫ります。

映画のエンディングはここでは触れませんが、人間の誰もが経験する肉親との別れ、その崇高で厳粛な、それでいて心安らかな光景を通して、陽子という1人の女性の魂を揺さぶる658kmが熱く目に焼き付くロードムービーです。菊地凛子、素晴らしい女優になりました。

この『658km、陽子の旅』は7月28日からユーロスペース、テアトル新宿にてロードショー公開との事ですので是非!


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