アントニオ猪木が元国際プロレスのエースだったストロング小林、元日本プロレスの大木金太郎、盟友の坂口征二を次々と撃破する事で、直ぐにでも実力日本一“”を名乗りそうな気配に危機感を持ったジャイアント馬場は、“誰よりも自分の勝ちに拘る”猪木との直接対決を避けながらも、自分が猪木よりも上である事をファンに印象付けるため、前回アップしました「オープン選手権」での“猪木抹殺計画”と共に、ある奇策を敢行します。それが“対戦者比較論法”でした。
つまり馬場さんは猪木が勝てなかったビル・ロビンソンを引き抜き2対1で完勝すると、今度は猪木が勝つまでに13分かかった大木金太郎を引き抜き僅か6分で勝利する事で「な?俺の方が猪木より強いんだよ」とファンに知らしめたのでした。
ただこの“対戦者比較論法”はアントン信者の激怒を買い、以後アントン信者は「馬場だけは許さない!」と全日(馬場さん)vs新日(アントン)の対立概念はさらに燃え上がる事となります。
ところが、馬場さんが猪木への竹箆返し目的で引き抜いた大木金太郎は1度は馬場さんに完敗しながらも、今度は自分と同じ韓国人で大型レスラー戸口正徳ことキム・ドクを伴い、新たに馬場さん&ジャンボ鶴田が保持するインターナショナル・タッグに挑んで来たのでした。
そう、ここに全日本の歴史に深く刻まれる“因縁の日韓インタータッグ争奪戦”が火蓋を切ったのです!キム・ドクは英語が堪能な上に向こうっ気が強く、何より大型レスラーが大好きな馬場さん好みの巨体から繰り出す大技を駆使し当時ライバル不在だったジャンボ鶴田の好敵手となり、2人はUN王座を懸けてジャンボのジャーマンスープレックスやドクのキュイ・ロール(って誰がこんな超マイナーな技知ってるのよ?)が飛び交う死闘を幾度も展開しました。
そして両チームの遺恨が頂点に達した時に蔵前国技館で行われた馬場&鶴田vs大木&キム・ドクのインタータッグ戦(写真参照)は、交通事故で包帯姿も痛々しい大木をフォローするようなキム・ドクの活躍もあり、1対1からまさかの韓国師弟コンビがインタータッグ王座を奪取!!よもやの韓国組の勝利に怒り狂った国技館の日本人ファンはリング上に次々と物を投げ入れ場内は騒然となります。
額から血を流しながらインタータッグのベルトをワシ掴みにしたキム・ドクはマイクを掴むと「Come on Jumbo !! We are the champ !! We`ll fight you any time !!!」と勝利の絶叫を国技館に響き渡らせるのでした。ここに以後日本と韓国を叉にかけ何年にも渡って続く事となる“日韓インタータッグ争奪戦”がスタートしたのです!!
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龍熱の昭和プロレス放談73 衝撃の蔵前タイトル移動!日韓インタータッグ争奪戦
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