さてさて、先週は都内某所でジェニファー・ピードン監督による山岳ドキュメンタリー作品「クレイジー・フォー・マウンテン」(17)を試写で観て来ました。
名優ウイレム・デフォーが渋い低音でナレーションを担当する本作はモンブラン、エベレスト、マッターホルン、アイガーなどなど世界の名峰登頂に挑んで来た人間たちの長い歴史をオーストラリア室内管弦楽団が奏でる数々のクラシックの名曲に乗せて勇壮かつ幻想的な景色と共に映し出していきます。
特にクライマーが目も眩むような高所でロッククライミングするシーンは、まるでクライマーたちと私たち観客が同じ目線、同じ場所にいるようなアングルで撮られていて、これは一体どうやって撮影したのか?と思うほどのリアルさと臨場感で観る側に迫ります。
また映画の中盤に登場するフリーライドスキー、カイトスキー、ハイライニング、マウンテンバイクといった下手をしたら死と隣り合わせのようなエクストリームスポーツを取り上げるシーンでは、轟音と共に斜面を下る雪崩とまるで競争するかのように雪面を滑走するスキーヤーが遂には雪崩に呑みこまれていく場面が映し出され、思わず息を呑んでしまいます。
ただ個人的には威厳に満ちたクラシック音楽の旋律に乗って映し出される数々の名峰は美しく壮大で、そこに人間を頑なに拒み続ける大自然の偉大さを感じながらも、それを約80分間、延々と同じ風景を見せられるのは流石にちょっとワンパターンかなと感じました。
要するにこの「クレイジー~」は女性監督であるピードン監督が山を心から愛し、また山の魅力を深く理解しているからこそ可能だった美しい映像と勇壮な旋律の見事なコラボレーション作品である事は十分に理解出来ても、やはりこの映画は山好きな方だけが100%楽しむ事が出来る作品、言わば観る人間を選ぶ作品であると言わざるを得ない龍熱なのでした。
人は何故山に登るのか?その答えをこの映画で見出したい方にはお薦めしたい作品ですが、高所恐怖症の方は・・・少しだけ心の準備をされてからご覧になった方が良いでしょう(^_^)。
この「クレイジー・フォー・マウンテン」は来月21日から新宿武蔵野館にてロードショー公開との事ですので是非。
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人はなぜ山に登るのか?その答えを求めて。ジェニファー・ピードン監督作品「クレイジー・フォー・マウンテン」来月公開。
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