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Channel: 超級龍熱
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邵氏暗黒武打片、五毒的世界⑩ “幻の「五毒」別エンディング”編

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さて、何と第10回まで連載が続きました「五毒」特集も今回で最終回となります。1978年に張徹監督によって「五毒拳」(78)が公開されてから1981年に事実上の解散となるまで、彼ら5人(一時は6人)がその奇抜かつ斬新な作風、華麗にして圧倒的なアクロバットアクションで邵氏公司の長い歴史に確かな足跡を残した事は間違いないでしょう。

ただそれは同時に張徹作品とは相対する明るくコミカルタッチの作風と真正の洪家拳アクションを持ち味とする劉家良率いる劉家班にとっては脅威の存在でしかありませんでした。
その張家班(五毒)と劉家班2つの対立するグループの緊張が頂点に達した時に起きたのが邵氏の寄宿舎前での乱闘騒ぎだったわけです。
この“洪拳宗師”劉家良すら動揺させるほどの存在感を誇った“五毒系列”作品は、その後2000年初頭に天映娯楽社が邵氏作品を開放する遥か以前から、1つの国を除き英語吹き替え版として世界中のクンフー映画ファンたちに親しまれて来ました。そしてその唯一の“邵氏公司作品後進国”こそが我が日本だったのです。
1999年に私が上梓しました「香港功夫映画激闘史」。本書が日本で初めて“五毒”を紹介した文献でした。
同書の担当編集者から「何かショウブラのパート、やたら長いですねえ!」などと言われながらも私は邵氏公司のパートに何としても“五毒”たちを入れたかった。
“五毒系列”作品を紹介しなければ邵氏公司の歴史を全て語った事にはならない!と確信していたからです。
さらに翌年にキングレコードがリリースしました「五毒拳」DVDのジャケ解説とブックレットも私が執筆しました。
この時も監修者を自認する人間が私たち執筆者に何を基準に各作品のジャケ解説を振り分けているのか不明な中、私に「五毒拳」のジャケ解説の依頼が来た時は思わず心の中でガッツポーズをしたのを覚えています。
こうしてキングレコードから「五毒拳」のDVDがリリースされ店頭に並びました。
香港で「五毒拳」が公開されてから実に20年以上の年月が経っていました。本当に本当に長かったです。
こうして日本でようやく“五毒系列”作品が皆さんに親しまれ始めたわけですが、海外では長年に渡って“五毒系列”作品を研究して来た第一人者がその成果を1本のドキュメンタリーとして製作します。それがイギリスの映画監督トビー・ラッセルが監督した「Five Venoms」です。
数年前にイギリスの某イベントでスティーブ・ケレッジのブルース・リーのスライドショー作品「King of Kung-Fu」と共に上映されたこのドキュメンタリーは、この上映時はまだ未完成バージョンでしたが、その後に後半部分が完成し、私は昨年10月に来日したトビー監督からこのドキュメンタリーを進呈されています。
ドキュメンタリーには現在の載徹(その後死去)、郭追、孫建、鹿峯、羅莽、李藝民など“五毒系列”関係者たちが次々と登場し、当時の貴重な思い出をインタビュー形式で語っていきます。(英語字幕入り)
私もいずれ機会がありましたら、この五毒女子、いや全ての“五毒系列”ファン必見のドキュメンタリーを「五毒的世界・続集」として徹底特集したいと思っています。

さて本特集の最後に、遥か昔に私とトビー監督の間でトレードした1本の“五毒系列”作品、いえ文字通り“幻の映像”に触れる事で本特集の幕としたいと思います。
それが「五毒拳」の通常版には収録されていない別編集のエンディングです。
お互いに力を合わせて邪悪な毒ムカデ拳士湯山魁を倒した楊徳(江生)と何遠新(郭追)は湯山魁の懐から財宝の在り処を記した地図を取り出すと、そのまま決戦場から歩み去る。
これが通常版のエンディングでした。
しかし幻の別エンディングでは地図を手にした2人の毒派拳士の間で以下の会話が交わされるのです!!

楊徳「あ、あの銅鑼の音はなんだろう?」
何遠新「ふん、悪代官の王に替わる新しい代官のご到着のようだな!」
楊徳「これからも悪が蔓延るんだね。五毒門ももうこれで終わりなんだ・・・」
何遠新「いや楊徳、まだお前がいるじゃないか!(と楊徳の肩を力強く叩く!)」
楊徳「・・うん!(笑顔)」

笑顔で頷き合った正義の心を持つ2人の毒派拳士は、そのまま勇躍決戦場から歩み去っていく(劇終)。

この素晴らしく感動的な別エンディングシーンは「五毒拳」公開時に道徳感を重視するシンガポール公開版として撮影されたシーンで、私がトビー監督から借りたVHSは約1時間の短縮版&北京語版でした。
しかし私がイギリスのトビー監督にテープを返送した際、何と空輸の途中でテープが紛失!
トビー監督もバックアップVHSを手許に残していなかったため、幻の「五毒拳」別エンディングはまさに永遠に幻となってしまったのだった!?・・・。
いやいや、いやいや、実は私こと龍熱は「五毒拳」別エンディングのテープをイギリスに返送する前に自分用に1本だけダビングしておいたんですねー!😉。
偉いぞ!→龍熱👍と言うわけで、これまた何時か機会がありましたら五毒女子の皆さんと一緒に幻の「五毒拳」別エンディング上映会をやれたら楽しいなぁと思います😊。
さて、今回五毒女子の皆さんに優しく艶やかに背中を押して頂きスタートしました「邵氏暗黒武打片、五毒的世界」全10回、如何でしたでしょうか。
私自身今回の連載で自分自身の“五毒系列愛”、“邵氏公司作品愛”を再認識出来ましたし、改めて大変有意義な特集企画でした。
それでは五毒女子の皆さん、邵氏公司作品信者の皆さん、最後にどうかもう1度だけご唱和下さい。我ら“毒”を喰らわば“五毒”なり!!

Five Deadly Venoms forever and ever !!


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