ーさて、ここからは美香先生にケリー・チェン以外の香港スターについてお訊きします。
美香 あ〜そうですね、アンディ・ラウ(劉徳華)さんとかトニー・レオン(梁朝偉)とかかな。
ーおお!ではアンディさんからお願いします。
美香 ケリーがアンディさんのスタジオでダンスレッスンをしてたので、私も必ずと言っていいくらいアンディさんには会ってました。アンディさんも今度常盤貴子さんと共演するから私に日本語を教えて欲しいとズッと言ってましたね。
ー「ファイターズ・ブルース」(00)かな。
美香 アンディさんは凄く優しい人で、私が「常盤貴子さんのファンなんです!」ってアンディさんに言ってたら、アンディさんが「なら撮影場所教えてあげるからおいでよ」って言って下さったんです。で、その香港ロケの現場に行ったんですが、私もう「巨人の星」の星飛雄馬のお姉さんみたいに柱の後ろから見ている感じで(笑)。
ー明子お姉さん状態!(笑)。
美香 はい!もう見てるだけで緊張しちゃって(笑)。「貴子さん、可愛い!」みたいな。私を見つけたアンディさんが「美香!こっちにおいで!」と手招きしてくれてるんですが、私は「いいです!いいです!」みたいな。それから私ロケ現場に何回も行って、何時も後ろから「はあ〜!貴子さん可愛い♫」って見てるだけでした。で、貴子さんと目が合うと「あっ」って隠れるみたいな(笑)。それを見てたアンディさんがケリーと仕事した時に私に「美香、何で隠れちゃうの?貴子を紹介するのに。現場で日本人は彼女1人だけだから絶対に美香と話したいと思うよ」って言って下さったんですけど、私は「でも私、緊張しちゃうから大丈夫です〜!」なんて言っていたら、撮影も終わってしまって貴子さんも日本にお帰りになられてしまったんですけど・・。
ーところが、そこから激的な再会が!
美香 はい(笑)。私が代官山のフレンチレストラン「フェシェ」の2階で個展をやった時に常盤さんがちょうど「フェシェ」1階のカフェにいらっしゃってて、お仕事のスタッフさんと打ち合わせをされていたみたいです。私は常盤さんだと分からなくて「2階で個展やってますので良かったら見て下さい」ってチラシをカフェのお客さんに配ってたら「はい、個展はどちらですか?」と私に立ち上がった帽子を被った女性が常盤貴子さんだったんです!
ーいや〜何か映画みたいですね!
美香 私も「あっ!」と凄くビックリしたんですけど、「あの、2階ですので良かったら」と常盤さんを個展にお連れしました。常盤さんは私と一緒に個展を見ながら「凄いですねえ。素敵ですねえ」と言って下さったんですが、最後に「私たち多分お会いした事ありますよね?香港じゃなかったですか?」って仰って。私が「はい!アンディさんと常盤さんの撮影現場に見に行かせて頂きました!」って。そうしたら常盤さんは「お顔が凄く印象的で覚えていたのですが、私はてっきり香港のタレントさんか女優さんなのかなぁ?と思ってました。私ではなくアンディさんを見に来ている方なのかなぁって」って。それを聞いた私が「違うんです!私は常盤さんの大ファンでアンディさんに現場を聞いて見に行ってたんです!」って。そうしたら常盤さんが「ええー!私はあの時凄く寂しくて日本語が喋りたくて。石渡さんとお話したかったぁ!」って。
ーうう〜ん!アンディさんの言う通りだった!
美香 はい(苦笑)。でもあの時の私は心がまだ傷心な時で常盤さんに話しかける余裕がなかったんです、と常盤さんにお伝えしました。常盤さんも「画家さんになられたんですね!」と仰って下さって、お互いに「ありがとうございました!」とその場で握手をしてお別れしました。
ー素晴らしい再会でしたねえ。あと美香さんはサモハン(洪金寶)のファミリーとも交流があるとお聞きしました。
美香 はい。香港のお友達が多いんですけど、ちょうどサモハンさんの息子さんが日本に来ている時に私が所属していたプロダクション、スカイコーポレーションの社長がサモハンさんの息子さんをお世話していたんですね。それで小松拓也君と3人でお友達になって。
ーではお父さんのサモハンとは?
美香 はい、何度もお会いしました。サモハンさんのロサンゼルスのお家に遊びに行ったり、サモハンさんの香港のお家にも行きました。
ーそれは凄い!サモハンのはお家はどんな感じですか?
美香 不思議な感じでした。お手伝いさんやコックさんの住んでいるコテージがドワ〜!と並んでいました。
ーサモハンの本邸の脇に!?(驚)
美香 はい(苦笑)。それこそお手伝いさんの住むお風呂やおトイレが付いてる小さい家みたいなのがズラ〜!と並んでるんです。香港のお家でもそうでした。
ーそれはビックリですねー!
美香 アクションをやっているアメリカ人のルーベンがそのお手伝いさんのコテージを1つ借りて住んでましたから(笑)。
ーあ、はい、ルーベン・ラングダンさんですね。
美香 はい。私はサモハンさんの娘さんのステファニーと仲が良かったので、サモハンさんの母家のステファニーの部屋のキングベッドで一緒に寝てました。そのベッドが映画に出てくるようなお姫様ベッドで、私もこんな映画のセットみたいなベッドに本当に寝ている人がいるんだなぁ!ってビックリしました。
ーサモハンは料理が上手だと聞きましたが。
美香 上手でした。お昼になると、サモハンさんがコックさんと一緒にお料理を作ってました。プロが使うような大きな鍋を使ってワッシャ!ワッシャ!って感じで作ってました。料理は中華料理でした。
ーサモハンさんと言うと、奥さんは元アクション女優のジョイス・コウ(高麗虹)さんですが。
美香 ジョイスさん・・・あ、はいミナさん!香港のトップ女優だった方ですよね。勿論ミナさんも私たちと一緒にご飯を食べたりしてました。
ーミナさんはどんな印象でしたか?
美香 ミナさんは私の事を凄い気に入って下さってて、その当時の私は髪が長かったんですが、ミナさんが私の髪をブロウしてくれたりとか。
ーうう〜ん!ジョイス・コウに、いやサモハン夫人に髪をブロウして貰った日本人は美香先生だけでしょう!
美香 え、そうなんですか?(苦笑)。私が何時も髪をポニーテールにしてると、ミナさんが「美香、あなたはとても綺麗な髪なんだから勿体無いわ。私がブロウしてあげる」ってドライヤーと櫛で綺麗に髪を真っ直ぐにしてくれました。
ー私はジョイスさんのファンだったので、単純に美香先生が羨ましいです!
美香 あ、そうなんですね。凄く綺麗な方で目が透き通った青色で、歌手のマドンナみたいな方でした。本当に美しい方でしたね。あとサモハンさんが主演したTVドラマの・・「何とかロー」?
ー「LA大捜査線マーシャルロー」(98〜00)ですね(苦笑)。
美香 あ、ごめんなさい(笑)。「マーシャルロー」の撮影現場もサモハンさんの息子さんやステファニーと一緒に見に行ったり。そうすると撮影の合間にサモハンさんがやって来て「お〜!来てくれたんだ!さあご飯食べに行こう!撮影ストップ!ストップ!」って(苦笑)。私たちは「え〜?大丈夫なの〜?」みたいな。
ードラゴンストップならぬデブゴンストップ!
美香 はい(笑)。まあサモハンさんのドラマだから大丈夫だったんでしょうけど。でもサモハンさんは撮影は凄く真剣にやっていましたね。
ーあと私たちにとってサモハンとなると、ジャッキー・チェン(成龍)を思い浮かべるんですが、ジャッキーはサモハンのお家に来たりしましたか?
美香 ジャッキーさんはサモハンのお家でお会いした事はないんですが、ジャッキーさん、あとジャッキーさんの息子さんのジェイシー・チェン(陳祖明)も交えて皆でお食事はよく行きました。例えばステファニーが私とサモハンさんのレストランに行く時にジャッキーさんも合流したりとか。
ーほぉ〜!ジャッキーはどんな印象でした?
美香 ジャッキーさんの印象ですかぁ(笑)。あの・・ジャッキーさんは私の肩を盛んにトントン!って叩きながら「美香〜!コンニチワ〜!コンニチワ〜!」って(笑)。多分ジャッキーさんは日本語が喋りたかったんでしょうね(笑)。
ーなるほど(笑)。サモハンとジャッキーですが、あの2人はお互いにどんな感じで話をするんですか?やっぱりサモハンが兄貴分な感じですか?
美香 はい、そういう感じでしたね。サモハンさんはレストラン中の料理をオーダーするんです。ジャッキーさんは何故か私の隣に座る事が多かったんですが、何時も私の肩を叩いて来て「美香〜!美香〜!」って(笑)。
ーまたジャッキーが(笑)。
美香 はい(笑)。あとミナ夫人が燕の巣が好きで、私にも「美香、飲みなさい。これは肌にいいのよ!」って薦めて下さるんですけど、私は結構食わず嫌いなところもあったりで結局飲めなくて。燕の巣は凄く高いお料理なのに申し訳なくて。あとサモハンさんは私が一口でも食べたお料理を「美香はそれが好きなんだろう?」ってもう1度オーダーして、それをお土産にしてくれるんですよ。私はたまたま目の前にあったお料理を食べただけなんですけど(苦笑)。本当にサモハンさんは優しい方でした。
ーでもそれだけサモハンファミリーと仲良く濃い時間を過ごした日本人は美香先生だけだと思います。ちなみに美香先生はブルース・リー(李小龍)はどんな印象でしょう?
美香 ブルース・リーは・・黄色いユニフォームを着てる方ですよね?ごめんなさい、あまり知らないです(苦笑)。
ー分かりました(苦笑)。ではジェット・リー(李連杰)は如何ですか?
美香 ジェット・リーさん・・ちょっと検索してもいいですか?(苦笑)。多分お会いした事ないと思います。
ーではドニー・イェン(甄子丹)はどうでしょう?
美香 ドニー・イェンさん・・知らないです!どうしよう、大丈夫ですか?(苦笑)。でもジェットさんもドニーさんもカッコイイですね。
ーあ、はい、大丈夫です(大汗)。では美香先生が他に香港映画のスターで思い浮かぶ方がいらっしゃったらお願いします。
美香 やっぱりジャッキー・チェンの息子さんのジェイシー・チェンと一緒に遊ぶ事が多かったですね。ジェイシーは自分の車、凄い大きな車なんですけど、その車にDVDが観れる設備と沢山のDVDが積んであって、その車に10人くらいの友人を乗せて移動してましたね。ジェイシーは凄くダンスが上手いんです。ジェイシーが踊りたいからとクラブみたいなところに行ったんですが、私はクラブは初めて行ったんですね。香港のクラブって広くて店内が暗くて大きなテーブルにフルーツの盛り合わせがドーン!と置いてあって。そうしたらダンスフロアから「うわー!」って人の歓声が聞こえて来て、何か人が沢山集まってるので見に行ったら、フロアの真ん中でジェイシーが1人で踊ってるんですね。ブレイクダンスみたいなダンスで凄く上手かったですねー!もうプロ顔負けの天才的な上手さで、みんなが「何でジェイシーはダンスの映画に出ないんだ?」って言ってました。
ーなるほど。では美香先生にとってジェイシー、あと勿論ケリー・チェンもそうですが、香港での日々は素晴らしく充実していたんですね。
美香 本当ですね。香港にはトータルで2年半ぐらい住みました。尖沙咀は原宿みたいな街でしたけど2年住みましたし、もう庭みたいな感じでした。電車に乗らなくても徒歩で何処でも行けましたから。
ーありがとうございました👍。ではいよいよこれから画家・石渡美香についてお訊きします!