さて、昨日は下村勇二監督、TAK∴こと坂口拓主演「狂武蔵」(20)を試写で観て来ました。本作は7年前に未完成となり、その後完成を長年熱望されながら今日に至るまでお蔵入りしていた、まさに幻の剣戟映画でした。映画は宮本武蔵の生涯の中でも重要な闘い、いわゆる“一乗寺の決闘”として知られる吉岡一門との命懸けの大乱戦を描いています。
武蔵(坂口拓)に吉岡兄弟を次々と討たれた吉岡一門は、最期に残ったまだ幼い子供の又七郎を押し立て武蔵に決闘を申し入れます。決闘当日、吉岡は一門100人に加え300人の他流派剣士まで引き入れ武蔵抹殺を狙いますが、いきなり姿を見せた武蔵は又七郎を頭から一刀両断斬り捨てると、凄まじい怒号と共に自分に迫り来る吉岡一門との決死戦に飛び込んでいく!!
ここまでの導入部分が上映時間91分の内の約10分で、ここからの残り約77分は本当に一切カットが入らない1シーン&1カットの壮絶なる剣戟シーンが最後まで延々と繰り広げられます。この77分の剣戟シーンでは武蔵が自分に襲いかかる無数の敵に対してあらゆるシチュエーション、あらゆる剣捌きを駆使した闘いを披露します。その武蔵の鬼神の如き闘い振りに関しては、皆さんには敢えてここでは細かい説明はせず是非劇場でご覧頂きたいと思いますが、龍熱は下村監督と坂口さんコンビによる文字通り“鬼気迫るチャレンジ精神”に敬服する、としか言いようがありません。実にアッパレでした👍。それでも闘いの序盤で武蔵が人を無数に斬ると肉の油で剣が斬れなくなる事を恐れ、敢えて峰打ちで敵を次々と倒していく実にリアルな戦法や、決闘場所の至る所に予備の剣と水を用意しておく武蔵の用心深さといった丁寧かつ繊細な描写も龍熱は大変気に入りました。
最期にこの「狂武蔵」、武蔵の闘いがそれこそ延々と続くエンドレスなデスマッチと化して来る辺りで、それを観ている私たち観客も余りのハイテンションな斬り合いの連続に集中力が限界に達しそうになります。いや龍熱も長年アクション映画を観ていますが、映画を観ていてこんな異様な精神状態となったのは初めての経験でした。そう、そうなのだ!この未だかつてない驚愕のシチュエーションこそ、きっと大スクリーンの中で顔面を返り血で真っ赤に染めた宮本武蔵、いや坂口拓が私たち観客に向かって「何だ?お前らそんなもんか?武蔵の闘いはまだまだこれからじゃああぁぁ!」と血笑と共に挑戦しているに違いないのだ!!
さあ!この幻の剣戟映画「狂武蔵」はいよいよ8月21日から新宿武蔵野館にてレイトショー公開となります。今後アクション映画ファンにとって必ずや語り草となる、そして伝説となるに違いない本作を是非とも劇場の大スクリーンで堪能して頂きたいと思います!!