当初は完全な極秘プロジェクトだった「死亡遊戯」。それは1972年の9月にNBAの大スターだったカリーム・アブドゥル・ジャバールが香港を短期間訪れると聞いたリーさんが急遽五重塔を模したセットでジャバールとの格闘シーンを撮影しようと決意した事から“盗作”が日常茶飯事の香港映画界に対する警戒が理由でもあった。だが“極秘プロジェクト”であるはずの五重塔は5階のセットを何と“香港の黒澤明”こと胡金銓監督が訪れリーさんやジャバールと並んだ記念撮影が近年公開され私たちを驚愕させた。まあ当時の胡金銓は同じ嘉禾影業で「迎春閣之風波」（73）を監督するなど一応嘉禾グループ内人間扱いだったからかも知れないが、この胡金銓セット訪問には本当に驚かされた。
さらに4階は“龍殿”のセットとなると、“極秘プロジェクト”の規制も緩やかになったのか、大勢の國泰公司の関係者に加えて、同セットが「ウィンストン煙草」CMの撮影に使用された事からCM出演者の楊斯や鄭雷、さらには茅瑛が韓国合気道の師である池漢載に挨拶するため“龍殿”セットを訪問しリーさんや池師範と談笑する写真が残っている。
私が07年に茅瑛にインタビューした際にもしこの写真を見ていたら、茅瑛に「死亡遊戯」の質問を集中的に訊いたのだが・・実に残念だ。また3階は“虎殿”では同じく嘉禾で「馬路小英雄」（73）を撮影中だった上官霊鳳と許冠傑がセットを訪問してリーさんと撮った有名なスリーショットが残っている。
この時の上官霊鳳はダン・イノサントとのバオvsカリスティック戦撮影現場に乱入し、何を思ったかリーさんの背後でダンスするという暴走行為？を行い、その瞬間が写真に残っている。
余談だが“天皇巨星”王羽も「ドラゴンへの道」（72）のリーさんvsチャック・ノリス戦を撮影中のコロシアムのセットに乗り込んで来て自分の8mmカメラでリーさんとノリスの決闘シーンを撮影していた、と言われている。王羽は張徹監督の葬儀もビデオカメラで撮影しようとして周囲から「止めて下さい！」と制止され渋々撮影を断念しているが、果たしてこの王羽撮影による唐龍vsコルトのコロシアムの決闘シーンの激レア8mm映像はいま何処に保管されているのか。
さて、最期に五重塔3階は“虎殿”にはリーさんがアメリカから香港に帰国して以来、待ちに待っていた遠くハリウッドの使者である男女が訪れていた。
その男性、いや映画プロデューサーはリーさん生涯の夢であった待望のハリウッド映画主演作のオファーを持参した人物であり、もう1人の女性は男性の妻で、美しい金髪を持つ美女であった。
次回の「無題死亡遊戯」は五重塔セット訪問者たちの中でも、未だその経歴が日本では殆ど知られていないこの金髪美女の意外な素顔に迫る！
以無法為有法！以無限為有限！死亡的遊戯無敵也！
Many Golden Harvest stars visited Game of Death set.
Such as Polly Shan Kuan,Samuel Hui and Angela Mao.