李小龍と方逸華のツーショット。この写真が果たして何時撮られたのか興味深いですね。
1970年、小麒麟の橋渡しで邵氏兄弟公司との契約交渉の場に着いたリーさんを待っていたのは邵氏のドン邵逸夫ではなく、その愛人で実質邵氏の“女帝”の座に君臨していた方逸華でした。
リーさんと方逸華の交渉は契約金の金額からして意見が真っ二つで話し合いにさえなりませんでした。
リーさんが映画出演1本につき1万(アメリカ)ドルを要求したのに対して、方逸華は「1万ドルですって?あなたねえ、ウチの姜大衛だって400ドルなのよ。無理だわ!」の一言で一蹴されてしまいます。
それでもリーさんは、その場でジークンドーの演武まで方逸華に披露して見せましたが、方逸華の姿勢は変わらないまま交渉は決裂してしまいました。
後に邵氏はリーさんが新興会社嘉禾影業と契約したと知ると態度を豹変させ、白紙の小切手をリーさんに送り好きな金額を書き込んでくれとまで申し出ますが、既にリーさんは香港凱旋第1作『ドラゴン危機一発』(70)に主演する決意を固めていたのでした。
方逸華に李小龍との交渉を任せたために怨敵である嘉禾に一大躍進の機会を与えてしまった邵逸夫は「あれは一生の不覚だった。ただあの時は子役と『グリーンホーネット』の実績しかない李小龍に1万ドルはどうしても出せなかった」と肩を落としたのでした。
“邵氏女帝”方逸華は邵氏公司内の経費削減に大きな功績を残すと同時に、撮影中の作品を強行発令で何本も撮影中止にさせたり(そのため機関誌「南国電影」に撮影快調!と特報が載りながら完成せずに終わった作品多数あり)、自分のお気に入りの男優を寵愛し、逆に気に食わない女優には冷や飯を食わす(恵英紅も被害に遭いました)などの横暴も行うなど、邵氏の歴史に様々な功罪を残した人でした。
このリーさんと方逸華のツーショットが撮られた時、2人の間でどんな会話があったかは分かりませんが、満面の笑みを浮かべた“猛龍”と“女帝”の表情から見て、もしかしたら李小龍主演による邵氏兄弟公司作品が合意に達した瞬間だったのかも知れません。
Bruce Lee and Mona Fong.Two great giants of HongKong movie.