『燃えよドラゴン』(73)から、方丈が待つ少林寺の森に到着した李振強。
実際は後年に『ブルースリー死亡の塔』(81)で我々日本のファンに初公開されたこのシーン。
李振強が方丈の姿を確認すると、一瞬立ち止まり、そこから静かに恩師に歩み寄り一礼するプロセスは2人の師弟の信頼関係を見事に表現しています。
逆にこのシーンがあればこそ、ここから始まる師弟の厳粛な武道哲学の問答から、少林寺十三番目の掟に背いた者粛清の責務が観客により深く届くわけです。
改めてもし『燃えよドラゴン』がこれら少林寺での李振強☓洪金寶の組手シーン、方丈と李振強の問答、そして李振強☓劉少年の説法が一切なく、いきなり『Enter the Dragon』のメインテーマが勇壮に鳴り響くオープニングで幕を開けていたら。それは間違いなくいま我々が愛し敬う『燃えよドラゴン』とは異なる印象の作品になっていたでしょう。
Abbott and Lee.Cool pic from Enter the Dragon.