『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)から、余りにも有名な陳眞(李小龍)の虹口道場での道場破りシーン。
ここで自分を取り囲んだ日本人門徒たちを見据えながら陳眞がユックリと道着を脱ぎ、その鍛え抜かれた上半身を露わにするまでのシークエンスは、スリリングなBGM 、陳眞の一極一投足に過敏に反応する虹口道場門徒たちの表情を捉えた絶妙のカット割りもあり、いま改めて観直しても素晴らしい仕上がりになっています。
私自身これまでも繰り返し触れていますが、技量的には商業監督でしかなかった羅維が何故このような闘いの前の決死的かつ、息詰まる対立描写を撮り切れたのか不思議でなりません。
この陳眞の中国人の名誉を守るために日本人が待ち受ける道場に単身乗り込んでいくシークエンスは、後年に梁小龍主演『大侠霍元甲』(81)や甄子丹主演『精武門』(95)などの電視劇、そして李連杰主演『精武英雄』(95)でも再現されていました。
ただ当時まだ自前の撮影スタジオを持っていなかった嘉禾影業が國泰から借り受けた、まさに豪華かつ広々とした虹口道場セットを使った陳眞怒りの道場破りこそ、数ある“精武門徒系列”作品中でも真のオリジナルでありベストアクションシークエンスである事は間違いないでしょう。
Legendary dojo fight from Fist of Fury.