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Channel: 超級龍熱
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孤高の剣士が六重の古塔血戦に挑む!姜大衛&狄龍主演『保{金票}』(SB)

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さて、昨日は邵氏兄弟公司作品で、張徹導演、姜大衛&狄龍主演の武侠片『保鏢』(69)を観てみました。既に天映娯楽社から正規版DVDが発売されて久しい『保鏢』ですが、この『保鏢』は昔にも協和影視から北京語版VHS、あるいはトルコ版ワイドスクリーンなどがコレクターの間で出回っていたんですが、私自身天映娯楽社版DVDで1度シッカリと鑑賞してみたかった作品でしたし、特にリーさん信者の1人としても本作は見逃せない作品なんですね。
映画は無敵荘の主人にして剣術の達人段可風(井?)が護衛する二十万両の黄金を狙う飛虎寨の山賊焦雄(谷峯。その部下に槍の名手の陳星と軽功の達人王鍾。特に唖巴役の王鍾の不気味な雰囲気に注目!)一味と、年老いた段可風に変わって黄金を警護(つまり保鏢)する剣客向定(狄龍)とその許婚の雲飄飄(李青)、そしてその2人の前に現れた孤高の剣士駱逸(姜大衛)の闘いを描いています。
私もこの今回『保鏢』を改めて高画質DVDで観直してみて、とにかく本作が姜大衛と狄龍という当時の邵氏兄弟公司を代表する2人の武打星の輝くばかりの魅力がまさに絶頂にある時に撮られている作品である事を思い知らされます。
それは劇中で駱逸と雲飄飄が出会ってすぐにお互いが強く惹かれ合う様子に向定が駄々っ子のように拗ねる姿とか(苦笑)、誇り高い剣士ながら貧しさから泣く泣く愛馬を売り、その駱逸の激しい落胆振りを見た雲飄飄が密かに愛馬を買い戻してくれた好意に駱逸が戸惑いながらも反発してしまうなどなど、“陽剛導演”張徹が本当に珍しくも(苦笑)美しく描く男女間の切ない恋愛模様を通して、姜大衛と狄龍の魅力である若さと爽やかさが画面一杯に弾けています。
ただこの『保鏢』という作品の重要かつ一番の見所は、映画のクライマックスで焦雄たち一味のアジトである六重の古塔(『ドラゴン対7人の吸血鬼』(74)などにも登場した実際に清水湾の邵氏公司の野外セットに聳える六重の塔)を舞台に展開される駱逸&向定コンビvs焦雄一味の凄まじい血戦にあります。
自分が想いを寄せる雲飄飄から焦雄が上階で待ち受ける古塔を先に駆け登っていった向定に加勢するよう哀願された駱逸は自分の雲飄飄への想いを1人胸の奥に仕舞い、1階から2階、そして3階へと自分に襲いかかる焦雄の手下たちを斬り倒しながら登っていきます。
しかし遂に4階で向定と共に焦雄と対峙した駱逸ですが、駱逸と雲飄飄に対する嫉妬心から頑なに駱逸の加勢を拒否する向定に戸惑い、駱逸はその一瞬の隙を焦雄に突かれ焦雄の鋭利な槍で腹部を切り裂かれます!(張徹映画お約束の“盤腸大戦”ここにスタート!)
駱逸は真っ赤に染まった腹部から大量の鮮血を撒き散らしながらも、死力を振り絞り焦雄を古塔の最上階から叩き落とし勝利を得ますが、既に全身を血に染め瀕死の状態となります。
その駱逸の無残な姿を見た向定は、ここで初めて自分を救うために塔を登り加勢に来てくれた駱逸の義侠の心に深く感謝し、その駱逸の腹部を白い胴着で優しく包み、2人は肩を貸し合いながらヨロヨロと雲飄飄の待つ古塔の1階へと階段を降りていきます。
自らの深手を白い胴着で雲飄飄から隠しながら“白衣大侠”駱逸は真っ青な表情のまま古塔を立ち去ろうとしますが、遂にその場に力尽き崩れ落ちます!その今まさに命が尽きようとしている駱逸の許に何処からか駱逸の愛馬が走り寄り(ここは泣ける!)、駱逸は最後の力を振り絞り愛しい愛馬に跨ろうとしますが、そのままもう1度崩れ落ちると、泣きながら駆け寄った雲飄飄に看取られながら静かに息を引き取るのでした・・・。

ここまでこの『保鏢』のレビューをお読みになった方々には既にお判りのように、この『保鏢』はリーさんこと李小龍が『死亡遊戯』を撮る4年も前に“複数の主人公たちが六重の塔を舞台に、その塔の各階で待ち受ける悪漢たちと激闘を展開する”という特異なるプロットを用いた武侠片でした。1969年前後と言えば、まだリーさんはアメリカに在住していたわけで、もしかしたらリーさんはアメリカの中華街の映画館でこの『保鏢』を観ていたかも知れませんね。
徐楓&嘉凌主演『七靈寶塔』(76)、譚道良主演『決闘太陽塔』(77)、上官霊鳳主演『呂四娘闖少林』(77)、そして真田広之&李元覇主演『龍の忍者』(82)など香港映画における“闘塔電影”は数あれど、“本家”である『死亡遊戯』に何年も先んじる形に加えて、これほどまでの圧倒的なボルテージの“浪漫暴力悲劇”を撮っていた張徹導演には、いま改めて敬意を表さないわけにはいかないでしょう。
“亜洲影帝”姜大衛&“武林大侠”狄龍の2人がその絶頂期に主演した武侠片の秀作『保鏢』、邵氏兄弟公司信者だけでなく、リーさん信者の皆さんにも是非ともご覧になって頂きたい1本です。

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