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Channel: 超級龍熱
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大決闘南禅寺!荘泉利&黄仁植主演『カンフー風林火山』を観る・・・!

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昨日は都内某所でミゲル・アンヘラ・ヴィヴァス監督作品『スペイン一家監禁事件』(10)を試写で観て来ました。まあ物語は単純で、引越したばかりの3人家族が住む家に金品強奪目的の3人組の強盗が押し入り、そこで家族3人が体験する文字通りの“生き地獄”を描いています。とにかく映画が進むに連れて3人家族を取り巻く状況がドンドンと最悪の方向に突き進んでいくんですが(苦笑)、もうラスト辺りの結末はちょっとここでは書けないような唖然&呆然の展開が待っています。
私も観終わった後はマジでグッタリしてしまいましたが、逆にここまで徹底した形で人間の極限状態の果ての絶望感を銀幕に叩き着けて見せたミゲル・アンヘラ・ヴィヴァス監督にはある意味では脱帽するしかないかも(苦笑)。
この『スペイン一家監禁事件』は、7月2日から「シアターN渋谷」でレイトショー公開との事です!!

さて、先日チラッと触れましたが、邵氏兄弟公司で活躍していた孫仲がエターナル・フィルムこと恒生公司で、ビリー・チョンこと荘泉利&黄仁植主演で撮った『カンフー風林火山』(82)久々に観てみました。
映画は清王朝復活を目論む及善督統(黄仁植!)率いる満州人たち一派(その配下の顔触れも常山、江島、鄭麒膺、馬金谷など凄みタップリの顔触れ)が、及善一派が民衆に支持されていない事を知り一派を離脱した丁懐中(白鷹)が持つ秘密文書と皇帝の封印を追い求める中、父親(田豊)が丁を匿った事が縁で丁に惚れ込み弟子入りした主人公の程(荘泉利!)もその闘いに参戦し、やがては程と及善の一騎討ちへと突入していく!という展開です。
とにかくこの『〜風林火山』では、全編に渡って主人公の荘泉利の汗臭そう・・じゃなくて(苦笑)エネルギッシュな風貌に加えて、そのパワフルかつ俊敏なクンフー・アクションが全開状態で、間違いなくこの時期の荘泉利の若さ弾けるパフォーマンスは、同時期には既にトップスターの座を掴んでいたジャッキー・チェンこと成龍にも決して負けていないカッコ良さだった!と断言したいですね。
特に映画のクライマックスで朽ち果てた寺院である南禅寺を舞台に、及善督統の荒技で傷ついた丁が傍らで見守る中で荘泉利と黄仁植が延々と繰り広げるド突き合いファイトは、荘泉利の若さに任せた怖い物知らずのラッシング・ファイトと、黄仁植演じる及善督統の重々しくも豪快な蹴り技が真っ向から激突するという、もうマニアには堪えられないクンフー・ファイトが展開されます。
この主人公が恩師がその場で見守る中で蹴り技の達人である悪役に苦戦しながらも、激闘の最中に恩師の的確な助言を取り入れながら、次第に蹴り技の達人を追い込んでいく・・というシチュエーションは、言うまでも無く成龍導演&主演作品『ヤングマスター/師弟出馬』(80)におけるジャッキーvs“魔人キム(演じるはこれまた説明不要の黄仁植)”のマラソン・ファイトを意識した構成である事は明白です。
ただ、そうは言いながらも、この『〜風林火山』出演時の黄仁植は『ヤングマスター〜』出演時よりもさらに貫禄と凄みを増した風貌と共に、その韓国合気道と連続蹴りの猛威は、まさに“伝説の域”に達していると言っていいほどの迫力と説得力に満ちています。また導演の孫仲も程と及善の激しい闘いの合間には、邵氏時代の孫仲のベスト作品である狄龍&傅聲主演『風流断剣小小刀』(79)などでも披露した巧みなスローモーション効果を幾度となく取り入れ、絶妙の効果を発揮する事に成功しており、そのためかこの『〜風林火山』は恒生公司作品でありながらも、何処か邵氏兄弟公司作品の香りを随所に強く感じさせる作品に仕上がっています。
私、龍熱も昔にこの『〜風林火山』を観た時は、同じく「CIC・ビクター」からVHSが発売されていた『カンフー・エグゼキューショナー』(81)の颯爽としたスーツ姿とはかなり雰囲気の異なる荘泉利の野性味タップリ(と言うか野性味あり過ぎだっちゅーの!)の佇まいと、何よりもあの大鷲が黄仁植を襲う“衝撃のストップモーション・エンディング”が強烈に印象に残った作品でした。

さて、“インドネシアの星”と呼ばれ、80年代序盤に香港&台湾で数々のクンフー映画に主演した荘泉利ですが、その後荘泉利にとって香港における“後見人”、あるいは“育ての親”的存在だった恒生公司のドンである包明女史が亡くなると、荘泉利は次第に香港&台湾での活躍の機会を失い・・・やがては故郷のインドネシアに帰り、再びウイリー・ドーザンの芸名で映画やTVドラマで活躍しました。
で、実はその後、荘泉利は2度ほど香港映画界にカムバックする絶好のチャンスがあったんですが、まず1度目は劉家良導演作品『悪漢探偵?/最後のミッション』(89)への出演でした。この映画の撮影中に劉師父と荘泉利の間に起きたトラブルに関しては、以前にキングレコードさんからリリースされた王羽主演『いれずみドラゴン/嵐の血斗』(73)DVD収録のオーディオ・コメンタリーの中で私が触れていますので、ご興味のある方は是非聴いてみて頂ければ幸いです。
で、荘泉利の2度目の香港映画カムバックのチャンスに関してですが、何とこれが呉思遠によるあの“超人気シリーズ”の主役候補に予定されていた、との事なんですが・・・このエピソードに関しては私ももう少し慎重にリサーチを重ねた上で発表したいと思いますので、現時点での詳細は控えたいと思います。
そして、この『〜風林火山』で辮髪姿も颯爽と及善督統に扮した黄仁植ですが、黄仁植もまたこの『〜風林火山』が事実上の最後の香港(台湾)クンフー映画の出演となり、『〜風林火山』出演後に韓国に帰った黄仁植は、黄仁植にとって事実上の“武打星引退記念作品”となった金時顕監督作品『大男』(88)に出演し、その長い武打星人生に幕を下ろしました。
余談ですが、今では現地韓国でも昔に「Gold Star」社から発売されていた『大男』のオリジナルVHSの入手は相当の困難を極める状態ですが、私が以前にこの『大男』のオリジナルVHSを入手した際には驚くべき事に新品未開封状態(!)のVHSだったんです。その時は他にも何本か新品未開封の韓国クンフー&ホラー映画のVHSを購入したんですが、後にも先にも韓国製(クンフー映画)オリジナルVHSを新品未開封で入手したのはこの『大男』購入時だけでしたし、流石に今もその時の感激と興奮は忘れられません。
さらに余談ですが、この黄仁植の晩年の雄姿が観られる『大男』ですが、もし韓国オリジナル版に拘らなければ、1992年にイギリスは「MOVIE STARS HOME VIDEO」から『YEAR OF THE KICKBOXER』の英語題名で発売された「“IFD感染バージョン”の英語版VHSが存在しています。こちらは海外マーケットでなら比較的容易に入手が可能かと思いますので、ご興味のある方はチェックしてみては如何でしょうか。

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