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Channel: 超級龍熱
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熱風!韓国LEGENDS(73) “韓国浪漫暴力悲劇”!!鄭俊&フィル・リー主演『L.A.ストリート・ファイターズ』

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最近またもゴソゴソと探し物をしていたらドラゴン・リーこと巨龍&甘家鳳主演の韓国クンフー映画『十八通門房』(81)の輸入版VHSが出て来たので、何気に再生してみたら何とこれがワイドスクリーン仕様!!映画は一応最後まで観たものの、どんな内容だったか全く記憶に残りませんでしたが(苦笑)、それにしても巨龍の韓国映画でワイドスクリーンのプリントが昔に市販VHSで出回っていたなんて・・・いやはやチェックして見るもんですねえ!

さてさて、「熱風!韓国LEGENDS」第73回は、リチャード・パーク監督、そして最近もオールスター映画『Under Dogs』で健在のブルース・KL・リーこと鄭俊、その鄭俊の愛弟子フィリップ・リー(本作ではフィル・リー名義)主演『L.A.ストリート・ファイターズ』(84)でいきたいと思います。
何故今回「熱風!韓国LEGENDS」で敢えてこの国内でも大昔にVHSがリリースされていた本作を取り上げるかと言いますと、最近近所の巨大中古ビデオ店が新春セール!と題して店内に大量に置いている中古VHSを「全品●円セール!」で販売していまして、その中に今では超激レア・アイテム化しているこの『L.A.ストリート・ファイターズ』オリジナルVHSを発見&救済したから、ただそれだけの理由なのでした(苦笑)。
ただこの『L.A.ストリート・ファイターズ』はアメリカ・ロケを敢行してはいますが、正式な題名は『チャイナ・タウン』であり、監督のリチャード・パークこそ韓国テコンドー映画の鬼才として当ブログでもお馴染みの朴雨相その人です。
映画はロサンゼルスの高校(か大学、いずれにしろ超老けた学生たちだ!)に通う韓国人ギャングのヤン(鄭俊)とトニー(フィリップ・リー。若い!おまけに現在と明らかに目元が違う。恐らく整形したんでしょう)の親友2人が、チャン(ジェームス・リュウ)率いる中国人ギャングとの抗争、そして地元ギャングの麻薬取り引きに巻き込まれ、最後には2人が壮絶にして悲劇的な末路を迎えるという展開です。確かにこの『L.A.ストリート・ファイターズ』は音声の録音状態も酷いし、劇中のヤンと母親の親子の断絶描写ももうちょっと丁寧な描き方をして欲しかったなど色々と痛い部分もあったりと、いわゆる典型的なB級アクション映画なんですね(トホホ!)。
ただそれでもその主人公である鄭俊とフィリップ・リーの2人が披露する切れ味抜群のテコンドー&韓国合気道アクションは圧倒的な素晴らしさです!!(ちなみに本作のアクション監督は権永文!)まず鄭俊に関しては『アメリカ訪問客』こと『秘録ブルース・リー物語』(76)などでも同じ事が言えますが、その鋭く正確な廻し蹴りや見事な飛び開脚蹴りは本当にお見事ながら・・・この人はその風貌がどうしようもないほど地味な事で損をしている武打星なんですねえ。
逆にフィリップ・リーが見せる相手と距離を保ちながら素早いステップワークからの電撃のサイドキック!ショートレンジから繰り出す猛スピードの後ろ廻し蹴り!といったド迫力かつ斬新なキッキング・アクション(フィリップの放つ蹴りが速過ぎて、蹴りの爪先が見えない!!)こそ注目です。
何故ならこの一連のハイレベルかつトリッキーなテコンドー・アクションを数年後に香港映画『タイガー刑事』(88)や『クライムキーパー香港捜査官』(89)で披露し高い評価を得た武打星こそがドニー兄貴こと甄子丹で、言わばフィリップ・リーはドニー兄貴よりも何年も前にこのような強烈なインパクトのキッキング・アクションを既に完成&披露していた類い稀なる武打星だったわけです。また本作では麻薬ギャングのボスが自分の金を持ち逃げしたヤン抹殺のために日本は大阪から“人斬りケン”こと吉田ケン(中山ケン)、ニューヨークから殺し屋キッカーのクルーガー(演じるはビル“スーパーフット”ワラス!大拍手!)の2人の外国人を呼び寄せた事で、ヤン演じる韓国人武道家vs日本人ヤクザ&アメリカ人格闘家の激突!という興味深い顔合わせも観る事が出来ます。
さらに本作『L.A.ストリート・ファイターズ』のクライマックスでも邵氏公司作品信者にとって実に興味深い展開が見られます。ヤンが長年擦れ違い状態だった母親と和解したその場に現れたチャンはヤンの母親を殴り倒し、さらにはヤンの腹部にナイフを突き立て斬り裂きます!ヤンは崩れ落ちながらも自分のシャツを裂き、それを鮮血に塗れた腹部に巻きつけ、そのまま絶望的な闘いに挑みます!そうです!これこそあの“陽剛導演”張徹が得意とした“盤腸大戦”そのままの展開です!!!さらにそこに車で駆け付けたトニーは腹部から血を撒き散らしなら瀕死の状態で闘うヤン、そして傍らで倒れているヤンの母親を見ると、これまで絶えず暴走するヤンを押し留めていた自制心をかなぐり捨て、遂に怨敵チャンに怒りを爆発させるのでした!!!

チャン「トニー!テメエもヤンと同じように骨まで粉々にしてやるぜ!」
トニー「この・・・クソ●●野郎ォォォ!さあ、来ォォォい!」

ここからの木刀を手にしたトニーvsチャン一味の大乱戦は、敵の“奸計”によって血塗れで崩れ落ちた狄龍(この場合は鄭俊)、そこに駆け付けたもう1人の主人公である姜大衛(この場合はフィリップ・リー)が群がる敵に対して敢然と決死の、そして悲壮感漲る闘いを挑んでいく!というまさに張徹の代名詞である“韓国浪漫暴力悲劇”そのものです!
トニーはチャンの狂ったようなナイフ攻撃で自分の片足を何度も突き刺されながらも、最後は必殺の一撃でチャンの頭部を木刀で叩き割り、傍らで今まさに息絶えようとしているヤンを泣きながら抱き締めるのでした・・・。

果たして、朴雨相監督がこの『L.A.ストリート・ファイターズ』製作時にどれだけの本数の張徹作品を観ていたかは定かではありませんが、同じく張徹作品に強い影響を受けたリュ・スンワン監督作品『シティ・オブ・バイオレンス−相棒−』(06)と共に、邵氏公司作品、そして張徹作品が当時も今も如何に多くの韓国人映画監督に強い影響を与えていたかを窺い知る事が出来たリチャード・パークこと朴雨相監督作品『L.A.ストリート・ファイターズ』レビューでした。
最後にこちらで『L.A.ストリート・ファイターズ』の韓国映画としてのデータが読めます→ http://www.kmdb.or.kr/vod/vod_basic.asp?nation=K&p_dataid=03845&keyword=박우상 박우상 박우상 またこちらでは『Under Dogs』の作品詳細が読めます→ http://www.cityonfire.com/phillip-rhee-to-make-martial-arts-return-in-the-underdogs/
と言うわけで、韓国映画のレア映像&新事実を追い求める「熱風!韓国LEGENDS」、次回もどうぞお楽しみに!

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