さて、今回は久々に邵氏武侠片のレビューでいきましょうか。“百萬導演”こと羅維導演、そして“武侠影后”鄭佩佩&岳華主演『虎胆』(69)です。
明の時代、敵の大軍に包囲された建文帝は、皇太子と玉璽を忠義の士である上官浩(羅維)に託し、自分は城と共に炎の海に没します。皇太子と玉璽、そして隠された財宝を狙う率将兵(田豊)一派は、暗龍会を率いる上官浩の屋敷を襲撃しますが、毒矢を胸に受けた上官浩は自分の娘で女剣士の秀儀(鄭佩佩!)と金振雄(吳風)に皇太子と玉璽を委ねると「良いか、皇太子と玉璽を命懸けで護る事、それがお前の使命じゃ!さあ、もう行け!行くのじゃぁぁ!」と言い残し、その場で朽ち果てます。
皆さんもご存知のように、羅維導演は導演業に進出するまでは俳優として活躍した人で、そのためか自分の導演作品にも何度も俳優として顔を出していますが、今回この『虎胆』における上官浩役、それも娘に重大な使命を託し、その場で涙を流しながら別れを告げるシーンの羅維の迫真の佇まいは“俳優、羅維”としての出色のパフォーマンスと言っていいでしょう。
で、ここから映画は主役の秀儀と金振雄、同じく主役である趙飛雲(岳華)が出会い、そこから秀儀たちが率将兵一派の追撃を逃れながら秀儀の叔父が率いる白龍会の総本山に向かうまでの道中を描いているんですが・・・ここがちょっと展開がダレるというかキレが無いんですよねえ(溜息)。
これは私は以前から触れているんですが、羅維の導演としての真骨頂、特に邵氏時代の真骨頂は武侠片ではなく現代劇、所謂モダン・アクション映画だと思いますし、羅維が撮る武侠片、あるいは70年代中期に成龍を主役に撮った数々の武侠片は「あと15分短くするとテンポが良い映画なんだけどなぁ!」的映画が殆どなんです(トホホ!)。
同じようにこの『虎胆』もこれまた例外とはいかず、やっぱりこのテンポで1時間48分の上映時間は長過ぎでしょう(キッパリ)。
あとこの『虎胆』では折角主役に鄭佩佩を起用しながら、羅維導演が彼女の売りである女武打星としての華麗で俊敏な動き、あるいは美しくも清楚な表情などを劇中で十分に活かし切れていない、撮り切れていないのが残念でした。まあ最後は財宝の山が置かれた洞窟で秀儀&岳華たちと率将兵一派が大乱闘の果てに、見事秀儀に率将兵たちは倒され劇終となるんですが、映画のストーリー&完成度はともかくとして、私はこの映画に端役の兵士役として次々と顔を出す陳文(後のジェームズ・ティエンこと田俊)、染野行雄さん、鹿村泰祥さんといった面子が画面で確認出来た事の方が嬉しかったかも知れません(苦笑)。あと若き日のサモ・ハンこと洪金寶も兵士役で顔を出していたようです。
さて、本作『虎胆』の主役である鄭佩佩に触れておきましょう。実は鄭佩佩はこの『虎胆』を撮影する前後辺りに、ダンス留学の目的で東京は目黒にアパートを借りて暫く日本に滞在していた時期がありました。その時の鄭佩佩は確か他の何人かの香港の女優と一緒にアパートに滞在していたんですが、何故に邵氏公司の超売れっ子女優である鄭佩佩が当時このような形で日本に滞在していたのかは、それこそ色々な事情があったと思いますが・・・恐らくこの当時の邵氏公司と鄭佩佩の関係が思わしくなかったのも理由の一つかと思います。
で、私はこの鄭佩佩が目黒のアパートの室内で邵氏日本支社長だった蔡蘭や王立山さんと記念撮影した何枚ものモノクロ写真を王立山さんが今も所有しているアルバムで確認する事が出来ました。
その写真の中の鄭佩佩はタートルネックのセーターを着てスラリとした脚を組んで椅子に座り、あの輝くばかりの笑顔で王さんたちと一緒に写真に納まっているんですが、この王立山さんのアルバムに納められた邵氏公司の日本ロケ作品を中心とした無数の写真群は本当に貴重な写真の山で、私も拝見しながら大興奮の連続でした。
最後に、今回この『虎胆』のレビューに使用したDVDは言うまでもなく以前に「天映娯楽社」からリリースされた物なんですが、実は私の所有する『虎胆』のDVDのジャケットにはこの『虎胆』の主役の1人である岳華の直筆サインが入っているんです。それも岳華はDVDジャケットだけでなく、DVDのディスク本体にも「龍熱(ってここは私の本名です)先生、指正、岳華」とサインを入れてくれているんですが、今回この『虎胆』DVDに幸運にも岳華本人の直筆サインを入れて貰えたのは、私が何時も大変お世話になっている家有喜事さんの友人であり、香港映画俳優のスティーブン・アウこと歐錦棠さんが岳華に会った際に「日本に岳華先生と邵氏片が大好きな人がいるんですよ!」と岳華に伝えたところ、それを聞いた岳華が大変喜んで、今回の『虎胆』DVDへの岳華の直筆サインが実現したというわけなんです。
素顔の岳華はとても礼儀正しく温厚な人だそうで、何時か私も岳華に直接今回のサインのお礼を言えたらと思っています。
改めまして、私と同じく熱狂的なリーさんこと李小龍信者である歐錦棠さんと家有喜事さんのご好意に心から感謝します。ありがとうございました!
明の時代、敵の大軍に包囲された建文帝は、皇太子と玉璽を忠義の士である上官浩(羅維)に託し、自分は城と共に炎の海に没します。皇太子と玉璽、そして隠された財宝を狙う率将兵(田豊)一派は、暗龍会を率いる上官浩の屋敷を襲撃しますが、毒矢を胸に受けた上官浩は自分の娘で女剣士の秀儀(鄭佩佩!)と金振雄(吳風)に皇太子と玉璽を委ねると「良いか、皇太子と玉璽を命懸けで護る事、それがお前の使命じゃ!さあ、もう行け!行くのじゃぁぁ!」と言い残し、その場で朽ち果てます。
皆さんもご存知のように、羅維導演は導演業に進出するまでは俳優として活躍した人で、そのためか自分の導演作品にも何度も俳優として顔を出していますが、今回この『虎胆』における上官浩役、それも娘に重大な使命を託し、その場で涙を流しながら別れを告げるシーンの羅維の迫真の佇まいは“俳優、羅維”としての出色のパフォーマンスと言っていいでしょう。
で、ここから映画は主役の秀儀と金振雄、同じく主役である趙飛雲(岳華)が出会い、そこから秀儀たちが率将兵一派の追撃を逃れながら秀儀の叔父が率いる白龍会の総本山に向かうまでの道中を描いているんですが・・・ここがちょっと展開がダレるというかキレが無いんですよねえ(溜息)。
これは私は以前から触れているんですが、羅維の導演としての真骨頂、特に邵氏時代の真骨頂は武侠片ではなく現代劇、所謂モダン・アクション映画だと思いますし、羅維が撮る武侠片、あるいは70年代中期に成龍を主役に撮った数々の武侠片は「あと15分短くするとテンポが良い映画なんだけどなぁ!」的映画が殆どなんです(トホホ!)。
同じようにこの『虎胆』もこれまた例外とはいかず、やっぱりこのテンポで1時間48分の上映時間は長過ぎでしょう(キッパリ)。
あとこの『虎胆』では折角主役に鄭佩佩を起用しながら、羅維導演が彼女の売りである女武打星としての華麗で俊敏な動き、あるいは美しくも清楚な表情などを劇中で十分に活かし切れていない、撮り切れていないのが残念でした。まあ最後は財宝の山が置かれた洞窟で秀儀&岳華たちと率将兵一派が大乱闘の果てに、見事秀儀に率将兵たちは倒され劇終となるんですが、映画のストーリー&完成度はともかくとして、私はこの映画に端役の兵士役として次々と顔を出す陳文(後のジェームズ・ティエンこと田俊)、染野行雄さん、鹿村泰祥さんといった面子が画面で確認出来た事の方が嬉しかったかも知れません(苦笑)。あと若き日のサモ・ハンこと洪金寶も兵士役で顔を出していたようです。
さて、本作『虎胆』の主役である鄭佩佩に触れておきましょう。実は鄭佩佩はこの『虎胆』を撮影する前後辺りに、ダンス留学の目的で東京は目黒にアパートを借りて暫く日本に滞在していた時期がありました。その時の鄭佩佩は確か他の何人かの香港の女優と一緒にアパートに滞在していたんですが、何故に邵氏公司の超売れっ子女優である鄭佩佩が当時このような形で日本に滞在していたのかは、それこそ色々な事情があったと思いますが・・・恐らくこの当時の邵氏公司と鄭佩佩の関係が思わしくなかったのも理由の一つかと思います。
で、私はこの鄭佩佩が目黒のアパートの室内で邵氏日本支社長だった蔡蘭や王立山さんと記念撮影した何枚ものモノクロ写真を王立山さんが今も所有しているアルバムで確認する事が出来ました。
その写真の中の鄭佩佩はタートルネックのセーターを着てスラリとした脚を組んで椅子に座り、あの輝くばかりの笑顔で王さんたちと一緒に写真に納まっているんですが、この王立山さんのアルバムに納められた邵氏公司の日本ロケ作品を中心とした無数の写真群は本当に貴重な写真の山で、私も拝見しながら大興奮の連続でした。
最後に、今回この『虎胆』のレビューに使用したDVDは言うまでもなく以前に「天映娯楽社」からリリースされた物なんですが、実は私の所有する『虎胆』のDVDのジャケットにはこの『虎胆』の主役の1人である岳華の直筆サインが入っているんです。それも岳華はDVDジャケットだけでなく、DVDのディスク本体にも「龍熱(ってここは私の本名です)先生、指正、岳華」とサインを入れてくれているんですが、今回この『虎胆』DVDに幸運にも岳華本人の直筆サインを入れて貰えたのは、私が何時も大変お世話になっている家有喜事さんの友人であり、香港映画俳優のスティーブン・アウこと歐錦棠さんが岳華に会った際に「日本に岳華先生と邵氏片が大好きな人がいるんですよ!」と岳華に伝えたところ、それを聞いた岳華が大変喜んで、今回の『虎胆』DVDへの岳華の直筆サインが実現したというわけなんです。
素顔の岳華はとても礼儀正しく温厚な人だそうで、何時か私も岳華に直接今回のサインのお礼を言えたらと思っています。
改めまして、私と同じく熱狂的なリーさんこと李小龍信者である歐錦棠さんと家有喜事さんのご好意に心から感謝します。ありがとうございました!