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Channel: 超級龍熱
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「死亡遊戯:完全版2015~AFTER THE GAME」 ① 最高峰ヌンチャク戦!“フィリピンの魔杖師”編

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雪山。真っ白な雪景色が静かに、しかし力強く降り積もる雪でさらに白さを増していく。その山の絶壁に1台のベンツが止まり、その真っ赤なベンツのドアが開くと2人の男女が姿を見せる。
1人はジャケット姿のハンサムで屈強な中国人男性。もう1人は黒髪が美しい女性。2人は絶壁に立つと目の前に広がる雪景色に満足そうに笑顔を見せる。
「わあぁ・・・凄い雪ね!香港じゃ絶対に見れないなぁ!ローバも来れば良かったのに。ねえ、哥哥?」「そうだな。ほら、リーエル、あの大木を見てごらん?積もった雪の重さで今にも枝が折れそうだろ?」
兄ハイ・ティエンの言葉に妹のリーエルが視線を向けると、その瞬間、眼下の大木の枝が降り積もった雪の重さで「バキィ!・・・」と音を立てて折れた。
「あっ!ハイ・ティエン、枝が折れたわ!」「さあ、今度は隣の細い木の枝を見てごらん」再び兄の言葉に妹のリーエルが視線を隣の細い木に積もった枝に移すと、降り積もった雪の重さで今にも頼りなさげで折れような枝が一瞬撓ったかと思うと、積もった雪を全て振り落とし、また降り注ぐ雪を静かに受け止め始めた。
それを見た2人の兄妹はお互いに顔を見合わせニッコリと頷く。
「ねえ、ハイ・ティエン、本当に悔いはないの?本当に武術界を引退するの?」
愛くるしい妹の問いに無敵格闘家と言われた男は無言でジャケットの内ポケットから2組のブレスレットを取り出すと、1つを妹の手首に、もう一つを自分の右手首に填めた。
リーエルは不思議そうに「哥哥・・・これは何?」「私の師父から譲り受けた物だ。持ち主を災いから守り幸運を運んでくれるアフリカのお守りさ。像の尻尾の毛で出来ているんだ」「そうなの?素敵・・・嬉しいわ!」
ハイ・ティエンとリーエルの兄妹は寄り添い合いながら、絶壁から眼下の雪景色をジッと見つめる。さらに降る勢いを増した雪を見つめながらリーエルがポツリと呟いた。「哥哥・・・ここにもう1度哥哥と一緒に来れたら嬉しいな。ねえ、また来ようね?」「・・・・・」妹の問いかけにハイ・ティエンは穏やかな笑みを返す。
だが、その兄弟の想いを自然の力がまるであざ笑い、弾き返すかのように一段と雪が降り注ぎ、やがてハイ・ティエンたちの姿は雪景色の彼方に掻き消されていった・・・。


          「死亡遊戯:完全版2015~AFTER THE GAME」


① 最高峰ヌンチャク戦!“フィリピンの魔杖師”編

ハイ・ティエン(李小龍)はユックリとバオを床に向かって下ろすと、唖然とするパスカル(ダン・イノサント)に向かって笑みを返しながら、バオの先端で床を叩き返す。
「カンカカカンカン!カンカン!!」
そして“死をも恐れぬ世界最強の男”は、猛々しい怪鳥のような雄叫びと共にバオの先端を“フィリピンの魔杖師”の額に叩き着けた!「アチョオオォォ!!!」
そのハイ・ティエンの雄叫びは、まるで暗雲渦巻く五重塔に新たなる“デスゲーム”の開始を告げるかのように雄々しく、そして勇壮に響き渡った・・・!!
パスカルはハイ・ティエンのバオが自分の額に傷をつけた事に憤怒の表情を見せ、カリ・スティックを握り直しハイ・ティエンに突進!しかしハイ・ティエンはパスカルの突進をかわすとバオで再びパスカルの額を一撃する!
「アチョオオォ!」「あぐ・・ぐぁ!」
「どうした、エスクリマ・マスター?額に×の字が付いているぞ?」ハイ・ティエンの挑発に怒ったパスカルは「ファアアアアイ!ファアアィ!」と2本のカリ・スティックを旋回させ迫るが、ハイ・ティエンの電撃のバオがパスカルの手首を直撃!カリ・スティックが音を立てて床に落ちる。
手首を抑えながら驚きの表情で自分を見つめるパスカルに対して、ハイ・ティエンは床のカリ・スティックを拾い上げ、自分の背後に悠然と投げ捨て語りかける。
「残るはそのスティック1本だな。さあ、ユーの次のムーブは何だ?ウアタアタアタァァ!」
ハイ・ティエンが怪鳥のような雄叫びと共にバオを交差させ威嚇すると、パスカルは思わず数歩後退し残ったカリ・スティックを床に叩き着け、腰に隠し持っていた赤のヌンチャクを取り出す。

そして「いい気になるな?見ろ!」と赤のヌンチャクを猛スピードで旋回させ始める。
「ヒュン!ヒュヒュン!ヒュンヒュン!」パスカルは右から左へと猛スピードで旋回させたヌンチャクを脇の下に挟み込むと、満足げな笑みを浮かべハイ・ティエンを見据える。
それを見たハイ・ティエンはフロアの窓際で彼らの攻防をカイ(解元)と共に見ていたジェームズ(田俊)に「カモ~ン!ジェームズ?」と小馬鹿にしたように手招きする。ハイ・ティエンのその行為にジェームズは「チィッ!あの野郎?カイ、お前が行け!」と手にした黒のヌンチャクケースを隣のカイに荒々しく押し付ける。
「何で・・・俺が?」カイがヌンチャクケースを手に渋々ハイ・ティエンに歩み寄ると、ハイ・ティエンはヌンチャクケースを受け取り、代わりにバオをカイに渡す。
そしてヌンチャクケースから黄色のヌンチャクを取り出し、猛然とヌンチャクを旋回させる!「アタ!アタ!アタタァ!」
それはパスカルのヌンチャク捌きよりも遥かに華麗でまた力強いスイッチワークだった!!「ハチャオ!」
ハイ・ティエンのハイレベルなヌンチャク捌きを目の当たりにしたパスカルは愕然とした顔付きで「お前・・・何処でそのタバクトヨクをマスターした?誰が教えたのだ!?」と唸る。「驚いたか?アチャ!アタッ!ホッ!」
ハイ・ティエンは不敵な笑みと共にヌンチャクを旋回させながらユックリとフロアを周り込みパスカルの隙を窺う。
同じくパスカルも用心深くヌンチャクを旋回させながらハイ・ティエンの動きを目で追う。その2人の闘いを傍らでジェームズとカイが真剣な表情で見つめる。
「アタッホ!アアァ!」「バキィ!」「あぐあ!?」ハイ・ティエンのヌンチャクがパスカルの顔面を捉えた!さらにハイ・ティエンのショートレンジのローキックがパスカルの脛に決まる!
「く、くそおぉー!?」焦るパスカルの周囲を軽快なステップで踊るように舞うハイ・ティエン。しかし次の瞬間、ハイ・ティエンの一瞬の隙を突きパスカルのヌンチャクがハイ・ティエンの顔面を一撃する!「バキィ!」「うぐ!・・・」
ハイ・ティエンが思わず頬を抑えてパスカルを見返すと、それをせせら笑うようにパスカルが言い放った。「フン!口ほどにもない奴・・」「アダタァ!」「うぎゃう!(痛)」
パスカルの鼻っ先にハイ・ティエンの報復のヌンチャクが叩き込まれた!
ハイ・ティエンは黄色いヌンチャクを脇の下に振り戻すと笑みを浮かべながら「口ほどにもないのはどっちかな?アハァ~ン!?」とパスカルに問い返す。
そのハイ・ティエンの挑発に怒り狂ったパスカルがヌンチャクを大きく旋回させ迫る!「ヒュン!ヒュヒュン!ヒュン!ヒュン!」

ハイ・ティエンは顔面を真っ赤にしながらヌンチャクを旋回させ自分に迫るパスカルに油断なく身構えながら、心の中で自分にこう問いかけていた。
「この感覚・・・まるで全盛期の自分に立ち戻ったかのようだ。この五重塔の闘いの当初はリーエルやローバの安否で自分の闘いのペースが乱れていた。だが今は違う。私はこの闘いを楽しんでさえいる。いける・・・いけるぞ。このままのリズムで闘いを乗り切れば、きっとリーエルたちを救い出せる!」
ハイ・ティエンはそう自分自身に言い聞かせると、目の前で油汗を流しながら身構えているパスカルに向かって自分のヌンチャクをユックリと2本両手で重ね合わせると、電光石火の蹴りをパスカルの顎に叩き込んだ!
「アチョオオオ!」「ドガァ!!」「ぐああ・・・ああああ!」ドオオオォォン!
パスカルが床に叩き着けられた衝撃で“虎殿”全体が大きく揺れる。
それを見ていたジェームズが苦々しく唸った。「こりゃ勝負あったな。あのフィリピン野郎はもう終わりだぜ!」隣のカイもジェームズの言葉に無言で頷く。
ダメージが深いパスカルがヨロヨロと起き上がると、最後の力を振り絞りハイ・ティエンに向かって「トオオ!トリャ!」とヌンチャクを叩き着ける!
だがハイ・ティエンはそれを難なくカワすと、容赦ない後ろ廻し蹴りをパスカルの顔面にヒットさせる!「オオアタァ!」「ぐうああ!」
その蹴りの衝撃でヨロけたパスカルは痛みと屈辱で錯乱状態となり、メチャクチャな角度でヌンチャクを振り回し始めた!「アイアイィィィ!トオオオオリャアアァァ!」
既に戦士の精神状態ではなくなったエスクリマの達人の断末魔の抵抗に対して、ハイ・ティエンはそれを真っ向から受け止めるべく、猛然とヌンチャクを旋回させる!「アタ!アタ!アタタタァ!オオオオオアタタァ!オオオオォォ!アジャオォオ!」「うおああ・・?」
そのハイ・ティエンの鬼気迫るヌンチャク捌きに気押され、ヌンチャク合戦に振り負けたパスカルが一瞬後退!それを見たハイ・ティエンは怒涛の後ろ廻し蹴り4連発をパスカルに叩き込む!「アジャ!アダァ!オチャ!ウアダァ!」ドオオオオオン!
血反吐を吐き持っていたヌンチャクを宙に飛ばされ、そのまま床に叩き着けられる“虎殿”の番人!!ハイ・ティエンは意識朦朧としながら立ち上がったパスカルにユックリと迫ると、ヌンチャクをパスカルの首に巻き着けそのまま一気にパスカルの首をヘシ折った!!「アアチャアァ!」「ボキボキィ・・・!」

ハイ・ティエンのトドメの首絞めで絶命したパスカルが床に崩れ落ちるのを見届けたジェームズとカイが小走りにハイ・ティエンに近ずく。
カイはハイ・ティエンの闘いを褒め称えるかのように「お見事!」と肩を叩くと床にバオを投げ捨て、そのまま大股で4階への階段を上がっていく。
だがジェームズはハイ・ティエンに憎々しげに顔を寄せると「ハイ・ティエン、お前何処でタバクトヨクを習得した?これもお前の截拳道とやらの一部なのか?」と問い詰める。
ハイ・ティエンが答える。「あらゆる武術の優れたパートを貪欲に取り入れた格闘技、それが截拳道さ。何ならお前の得意の少林拳もお見せしようか?」
「何ぃ?少林拳だと!じゃあお前は少林寺で・・・フン!まあいい。さあ、お前が先に上がれ!」「仰せの通りに」
またも一瞬即発となったハイ・ティエンとジェームズは、新たな番人が待つ五重塔の4階への階段を足早に駆け上がっていく。以下、「驚異の関節技地獄!“韓国合気道金段”編」に続く!

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