Quantcast
Channel: 超級龍熱
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1863

「死亡遊戯:完全版2015~AFTER THE GAME」 ② 驚異の関節技地獄!“韓国合気道金段”編

$
0
0
五重塔の4階は下階の“虎殿”とは趣が異なるフロアだった。フロアの窓際に置かれた棚には朝鮮製らしき骨董品が無数に陳列され、それは独特の格式を誇っていた。そしてフロア中央に置かれた神殿のようなスペースは白いカーテンで仕切られ、奥の壁には大きく口を開けた“龍”の壁画が掘られ、その真下には豪華なベッドが置かれていた。
4階への階段を駆け上がって来たカイ、ハイ・ティエン、ジェームズの3人は、そのベッドの奥に韓国人らしき男性が横になり無遠慮な視線を彼らに注いでいる事に気がついた。
ジェームズと顔を見合わせたカイが怒鳴る。「おい?そこのお前、出て来い!」
カイの呼びかけに韓国人はベッドから起きると、ユックリと白いカーテンを開けた。
その“龍殿の番人”こと武芸者(池漢載)は七三に分けられた髪、威厳に満ちた顔立ちに加えて、その道着の腰には黄金に光り輝く金帯が誇らしげに締められていた。「・・・・・」武芸者は自分が守る“龍殿”への挑戦者である3人をそれぞれ品定めするように見つめていたが、直ぐに背後の柱にある電灯スイッチに手を伸ばし、そのスイッチを押した。「バチ!」
ハイ・ティエンは“龍殿”の天井各所に設置された赤味を帯びた照明が突如点灯し、ハイ・ティエンたち3人を妖しく照らし始めた事に警戒心を強めた。
武芸者は赤味を帯びた照明の光に満足げな笑みを浮かべると、そのままユックリとフロア中央に歩を進め、ハイ・ティエンたちに韓国語で語りかけ始めた。
「諸君、この照明の“赤”の意味する事が判るか?それは“危険”だ。さあ、悪い事は言わん。全身の関節をバラバラにされる前にこの“龍殿”から立ち去れ!命は大切にする事だ」
ハイ・ティエンは武芸者の“警告”に穏やかな笑みを返すと、カイやジェームズを階段脇に誘い、手に持った黄色いヌンチャクを武芸者に見せつけるかのように床に落とした。そして英語で武芸者にこう言葉を返す。
「ユーは1階を守っていたソーチュン・キムの師父だな。弟子のキムはミーが倒した。そしてミーはユーも同じく倒し上階に行かせて貰う!」

「まずは俺だ!いやああああ!」ハイ・ティエンの気勢を制するかのようにカイが武芸者に突進する!だが武芸者は余裕の表情でカイの突進をカワすと、カイの手首を掴み瞬時に身体を捻りながらカイを投げ飛ばす!そして慌てて起き上がったカイを掴みもう1度!さらにもう1度!
「こ、このぉ!」武芸者は既に息遣いが荒くなっているカイの左肩を掴み笑みを浮かべながらカイの肩の関節を締め上げる!
「メキメキメキィ!」「あぐあ・・・ぐあああああ!」
カイの悲鳴を聞きながら「ハプキドー、それも相当の腕前だな」とハイ・ティエンが呟くのを聞いたジェームズが「だったらお前がカイに手を貸して来い!」と噛み付く。
だがハイ・ティエンはジェームズの挑発を聞き流すと、そのまま階段の手摺に腰を下ろす。
「ケッ!見てろよ?」ジェームズが顔を歪めながらフロアの中央に進み出た。
それを見た武芸者は締め上げていたカイの左肩を離すと、ジェームズ目掛けてカイの背中を蹴り飛ばす!ジェームズに助け起こされたカイは脂汗を流しながら「肩が・・・肩が外れた!」と呻く。ジェームズは「いいか、俺とお前で同時にあの韓国人に飛ぶかかるぞ。はああ!」
武芸者は自分に同時に飛びかかって来たカイとジェームズにも全く動じる事なく、まずカイのボディに蹴りを叩き込み、ジェームズの手首を捉えると軽々と宙に舞わせる!!
「うおおおおお!」飛び起きて再び迫って来たカイの顎に掌低を叩き込んだ武芸者は、ヨロめくカイを蹴り飛ばす!その衝撃でカイは背後の骨董品が並んだ棚に身体ごと突っ込む!
「ガラガラ!ガチャァン!」カイの身体ごと骨董品が床に散乱するを見たジェームズが武芸者の背後から武芸者の腰にしがみ付く!
だが武芸者は後ろ向きのままジェームズの両手首を掴むと、そのまま思い切り腰を落とすように万力で締め上げる!「メキメキィ!」「ぐあああああ!」
勝ち誇った笑みを浮かべた武芸者はジェームズのシャツの襟首を掴むと、階段の手摺に座り戦況を見守っていたハイ・ティエンに向かってジェームズを突き飛ばした。

ハイ・ティエンはジェームズの両肩を掴むと自分の傍らに引き寄せ、同時に左肩を押さえヨロヨロと疲労困憊状態で戻って来たカイにも目で「下がっていろ」と伝える。
そのまま静かに武芸者の前に進み出たハイ・ティエンは、武芸者の眼前にユックリと右手の指を5本掲げる。
「?」武芸者がそのハイ・ティエンの掲げた右手の意味を探るような顔付きで身構える。「ファイブミニッツ。5分だ。5分でユーを倒す!」「何だと!イ・セッキヤァ!(怒)」
「アタオオォ!」次の瞬間、武芸者の怒りを帯びた顔面にハイ・ティエンのハイキックが炸裂!闘いが火蓋を切った。
キックの衝撃で床に叩き着けられた武芸者はすぐに起き上がるが、そこにまたもハイ・ティエンのリードパンチが武芸者の顔面に決まる!
「アジャオ!」「うぐあ!」しかし武芸者も後退しながら、すぐに後ろ廻し蹴りを放ちハイ・ティエンを横転させる。

ジェームズはハイ・ティエンと武芸者の攻防をジッと見つめていたが、その視線が“龍殿”の反対側にある5階への階段で止まる。そして隣に立つカイに向かって囁く。
「おい?カイ、あの韓国人はハイ・ティエンに任せてお前が先に5階に上がれよ?」
「俺が?いやしかしな、アコンが言うには5階には“化け物”がいるって話だぞ?」
「大丈夫だって。俺もすぐに後から5階に行くからよ。さあ、行けって!」
「よ、よし!行ってみるか!」
カイはそう唸ると、ハイ・ティエンと武芸者が闘うフロア中央を横切り、反対側の階段へと歩き出す。そのカイの行動を横目で確認したハイ・ティエンは、視線を武芸者から外さずカイの黒の道着を掴むと「待て、カイ!5階に1人で上がるのは危険だ!」とカイを制止する。
だがカイはそのハイ・ティエンの手を振り解き「任せろって!お先に行かせて貰うぜ!」と5階への階段を思い切りよく駆け上がっていく!「待て!カイ?待つんだ!」

5階へと駆け上がったカイはすぐに「ううっ?何だ、この匂いは?」と自分の鼻を押さえた。真っ黒な闇に包まれた5階には異様な臭気が漂っていたのだ。僅かにフロアの四隅にある蝋燭台が微かな明かりを5階に生んでいた。
カイは5階に漂う臭気に吐き気を覚えながらも用心深くフロア全体に目を凝らすが、中央に5重塔の最上階へと繋がる階段が微かに見えた。
「あの最上階に“秘宝”があるのか。よし!」とカイがその階段に一歩踏み出そうとした時!「ズン!ズン!ズン!」突如、カイの後方の闇から“巨大な影”が迫って来た!「何・・・何だ!お前は!?」
カイが慌てて身構えようとする間を与えず、その“巨大な影”はカイの頭を鷲掴みにすると、暴れるカイの身体をそのまま高々と持ち上げた!
「あぐうう!くそぉ!離せ!離せええええ!」
だが次にカイが聞いたのは、自分の頭蓋骨が凄まじい握力で砕かれていく音だった・・・!「バキ・・・バキバキィ!」「ぐぎゃあ・・・ぐああああああぁぁぁ!!!」

再び4階は“龍殿”。ハイ・ティエンは武芸者が繰り出す蹴りをブロックし弾き返すと、逆に連続の廻し蹴りを放つ!「アタ!アタァ!」
そしてハイ・ティエンが後退した武芸者にもう1発蹴りを放とうとした、その瞬間!
ドタン!ドタァァァン!何かが5階から4階の階段下に突き落とされて来た!
ハイ・ティエンがその異様な音の方向に振り返ると、そこには無残にも頭部が潰されたカイの死体が横たわっていた。「こ、これは?カイ!?5階には・・・5階には一体何がいるんだ!?」
ハイ・ティエンが思わずカイの亡骸に視線を移したのを見た武芸者は、ハイ・ティエンの腕を掴むとそのままハイ・ティエンを強烈な投げ技で床に叩き着ける!
「はいやあ!とおおいやぁ!」さらにもう1度!何度も床に叩き着けられた衝撃で顔を歪めるハイ・ティエン。
「ヘッ!今だ!」そのハイ・ティエンの劣勢を見たジェームズは、フロアを5階への階段目掛けて猛スピードで突っ切る!そしてそのままジェームズは5階の闇の中へと駆け上がっていった。
ハイ・ティエンは5階へと上がるジェームズの姿を黙って見送っていたが、同時に武芸者の連続の投げ技で自分が負ったダメージを冷静に確認しながら、心の中でこう呟いていた。
「このままではダメージが増すばかりだ。この韓国合気道高手は早めに倒すつもりだったが、出来れば得体の知れない5階の番人との闘いに体力を温存しておきたい。こうなったらあの荒技で勝負を懸けるしかない!」
「いやああああ!」ハイ・ティエンは自分に飛びかかって来た武芸者をカワすと、入れ替わり様に強烈無比のサイドキックを武芸者のボディに叩き込む!
「アタアアアア!」「ぐおわあ!」ハイ・ティエンが横転する武芸者にさらに迫ろうとした時!ハイ・ティエンの頭上の天井から大量の砂埃と共に不気味な振動が響いて来た!「ズン!ズズン!ズン!ズン!ズズン・・・!!」
ハイ・ティエンは眼前に舞い落ち視界を遮る砂埃を手で払いながら呆然と天井を見上げる!!「5階では何が起こっているんだ?」
そして次の瞬間、5階へ繋がる階段の上から聴き慣れたジェームズの声が響いて来た!
「助けて・・・ハイ・ティエン!コ、コイツは人間じゃねえ!ハイ・ティエン・・・早く上がって来てくれ!ハイ・ティエェェェン!」「あの声はジェームズ?ジェームズ!」
ハイ・ティエンがジェームズの悲鳴に気を取られた隙を突き、またしても武芸者がハイ・ティエンの足を払う!だがハイ・ティエンは横転しながらも武芸者の顔面に3発連続で蹴りを叩き込む!「アダ!オア!アダァ!」「ぐわぁ!・・・うううう!・・・」
ハイ・ティエンの怒涛の蹴り技に深いダメージを負った武芸者だったが、それでも最後の力を振り絞り立ち上がり、ハイ・ティエン目掛けて飛びかかって来た!
「あああ・・・あいやあああ!」ハイ・ティエンはその武芸者の攻撃を受け止め、首を固め腰の部分を抱き込むと、高々と武芸者を抱え上げ、そのまま思い切り自分の膝の上に武芸者の背中を叩き着けた!!
「アアアアアアジャァ!」「ボキボキ!」「うぎゃあああああ!」
ハイ・ティエン必殺の荒技“波分け”で背骨をヘシ折られた武芸者はフロアの床に崩れ落ちると背中の激痛で床の上をのた打ち回っていたが、やがて失神すると動かなくなった。
それを横目で見ながらヨロヨロと立ち上がったハイ・ティエンは、5階へと繋がる階段下で立ち止まると、用心深く闇に包まれた上階を見上げていたが・・・!
「止めろ!止めてくれえ!ぐわああああ!」ハイ・ティエンの頭上からまたもジェームズの断末魔の悲鳴が聞こえて来た!!そして一転しての不気味な静寂。
ハイ・ティエンはこの五重塔に突入して以来、初めて自分の右手に填めたブレスレットを強く握り締めると、意を決して5階への階段を駆け上がった!!
以下、「闇に潜む最強の番人!“未知の恐怖”編」に続く!

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1863

Trending Articles