さあ「超級龍熱」新春レビュー第1弾は鄭保瑞制作、李子俊導演、張晉&余文樂主演「狂獸」(17)でいきましょう!(何時もながら私をサポートしてくれる友人に厚く感謝です(^_^))
香港重案督察の張刑事こと西狗(張晉)はある事件で自分が追い詰めた犯人をビルから転落死させた事でその犯人の娘を孤児にしてしまいます。
自責の念から西狗はその少女の養育費を負担し続け、やがて少女は美しい女性(余文樂)へと成長します。
しかしその日から自分の髪を金髪に染めた西狗の暴走刑事としての荒々しい捜査はさらに激しさを増し、デスク派の上司(林家棟)とは毎日のように衝突します。
そんな西狗、そして退職を明日に控えた相棒の厳志徳(吳樾)は、近海に沈む大量の闇金塊強奪を狙う漁民ヤクザ江貴成(余文樂。物凄いイメチェンにして異様な迫力!)たちとの壮絶な闘いに挑んでいくのでした!!
いきなりですが、ハッキリ言って主役のはずの張晉が反派の余文樂の圧倒的な存在感に喰われてしまっている作品でしたね(^_^;)。
それぐらいショーン・ユーこと余文樂演じる江貴成の凄味溢れる佇まいは素晴らしかったです。
そうは言いながらも、「イップマン継承」(16)でドニー葉問とあれだけの決闘を見せた張晉ですから、アクション監督の李忠志と共に劇中では期待通りの見事なクンフーファイトを披露しています。
特に映画の中盤で江貴成に相棒の阿徳を人質に取られた西狗が漁民ヤクザの幹部陳(演じるは懐かしの太保)との人質交換の場となった駐車場で、ナイフを手に自分に襲いかかる覆面の刺客相手に延々と繰り広げる闘いは必見です。
このハイレベルかつトリッキーなファイトシーンで、張晉が「イップマン継承」では殆ど見せなかった打点が高く華麗な連続廻し蹴りを幾度となく覆面殺手にヒットさせるシーンは圧巻でした。
そして映画のクライマックスでは、漁民ヤクザを裏で操る大ボスの鬼哥(演じるは我らが“和製ドラゴン”倉田保昭。拍手!)、海に眠る金塊を執拗に狙う江貴成、そして江貴成逮捕と相棒の阿徳の行方を追う西狗の三つ巴の闘いが続き、そこから西狗と江貴成の男と男の暗い情念をぶつけ合う闘いは最高潮に達していくのだった!!
ラストの台風直撃で猛り狂う荒海を漂う漁船を舞台に、金塊引き上げに命を懸ける江貴成と、それを何としても阻止せんと漁船に乗り込んだ西狗の眼前に姿を見せる意外にして驚愕の“第3の男”とは!?
いま全ての決着を着けんと、背中に彫り物を背負った金髪の暴走刑事が荒海に吼える・・・!!
制作の1人が鄭保瑞なのである程度は予想はしていましたが、映画全体を覆うダークで重々しく、そしてやり切れない展開は観終わった後にグッタリするほどです(^_^;)。
ただそこに張晉が披露する切れ味鋭いクンフーアクションが加味される事でちょうど良いバランスを保っている作品と言っていいでしょう。
さらに近年の香港アクション映画の話題作には殆ど顔を見せている吳樾、江貴成の恋人で特殊な自家製爆弾(見ると判ります♪)で大暴れする文詠珊の可憐な美しさなどなど見せ場も盛り沢山で私は楽しんで観る事が出来ました。
マックス・チャンこと張晉、龍熱的には武打星としてはまだちょっと線が細い印象なのですが、今後もこの「狂獸」のような良質な作品に出演を続けていくとしたら、これからがさらに楽しみな武打星でしょう。