さてさて、昨日は国内でもいよいよ来月に劇場公開を控えた王家衛導演、梁朝偉&章子怡主演『グランド・マスター』 (13)を観ました。それにしてもこの映画ほど作品の撮影中から公開に至るまで何かと話題になった武打片も珍しいですね(苦笑)。
私も既に香港で本作を観た私の周囲の友人たちの様々な評価が気になっていたんですが、今回遂に今年最強の問題作品(?)のベールを当ブログで脱がす時が来ました。
映画は1930年代中盤の中国を舞台に、実在した詠春拳の達人にして“香港宗師”と呼ばれた葉問(演じるはトニー・レオンこと梁朝偉)の闘いと淡い恋を中心に描かれていきます。
作品の軸となるのが北の八卦掌の宗師宮保田(王慶祥)が引退宣言をした事に端を発した南北武林界の後継者争いで、そこに送り込まれた葉問が彼を待ち受ける各門派の武術家たちと激闘を繰り広げます。まず映画の冒頭で、葉問と雨中の対決を見せるのが何と黎烈弓ことカン・リーで、ここで私は初めて葉問に扮したトニーのクンフー・アクションを目の当たりにしたんですが、結論から言いますと・・・今回のトニーは不慣れなクンフー・ファイトに直面しながら彼なりに大変頑張っていますし、武術指導の袁和平が構築した葉問の詠春拳アクションも実にリアルで華麗な武打シーンに仕上がっています。
さらに葉問は八卦掌の女武術家、洪家拳の名手(演じるは劉家良の甥である劉家勇。拍手!)、あるいは羅莽らを次々と撃破していくんですが、私は特にトニーvs劉家勇戦の俊敏で鋭角的な詠春拳とパワフルな洪家拳の真っ向激突ファイトが大変気に入りました♪
ただですね、この『グランド・マスター』は映画の中盤辺りで葉問と対決し、後にお互いに恋心を抱くようになる女武術家で宮保田の一人娘宮二こと宮若梅(山東省済南市出身で八卦掌の名手だった施剣翹がモデル)に扮した章子怡が物語の中心になって来ると、途端にトニー葉問の存在が薄くなってしまうんですよ(苦笑)。
それほどこの『グランド・マスター』における章子怡の圧倒的なまでの美貌、それも成熟した女性としての凛とした美しさは素晴らしく、ここは女性をこれだけ美しく撮る事が出来る“映像作家”としての王家衛には改めて敬意を表さないわけにはいかないでしょう。
そしてこの『グランド・マスター』最大の見せ場が映画の終盤の宮二と怨敵である形意拳宗師の馬三(演じるは張晉!)が2人の真横を列車が猛スピードで突っ走る線路脇で延々と繰り広げる大決闘です。ここでの章子怡演じる宮二が馬三相手に見せる女性としての繊細さを残しつつも馬三に次々と強烈に叩き込まれる連続の掌打攻撃は文字通り圧巻で、この宮二vs馬三の一騎打ちを見ていると「ああ、章子怡が初めて挑んだ本格派のクンフー映画をこうして観られるなんて何て我々は幸せなんだろう!」と心から実感させられてしまうほど、この『グランド・マスター』のツィイーちゃんは本当に素敵でしたねえ!(シミジミ)。
最後に、この『グランド・マスター』が同じく葉問と詠春拳を題材とした甄子丹ことドニー兄貴主演版『イップマン/葉問』シリーズを映画として凌いだか?と言えば、それは勿論NOでしょう。
その根拠として主人公である葉問に扮したトニー自身が卓越した演技者ではあるものの、武打星としてはドニー兄貴が見せたようなまさに指の先まで力強く気合いが込められた詠春拳術を体現するにはややパワー不足だった事と、こと武打シーンに限ってはこれまで場数を踏んで来た章子怡の武打パフォーマンスと比べるとどうしてもトニーの印象が希薄になってしまい、そのため映画の途中からはトニーが主役の座を章子怡に譲ってしまったような印象を観客に与えてしまう・・・などの理由が挙げられます。
ただそうは言いながらも、この『グランド・マスター』は私が事前に予想していた作品の出来とはかなり良い意味で異なる完成度で、私は『グランド・マスター』は是非もう1度劇場の大スクリーン&日本語字幕付きで観直してみたい作品ですし、1人の表現者としては言うまでもなく超一流であるトニーには、今後さらに年齢を重ねた晩年の葉問を味わい深く演じて欲しい!との強い思いに駆られました。
私も既に香港で本作を観た私の周囲の友人たちの様々な評価が気になっていたんですが、今回遂に今年最強の問題作品(?)のベールを当ブログで脱がす時が来ました。
映画は1930年代中盤の中国を舞台に、実在した詠春拳の達人にして“香港宗師”と呼ばれた葉問(演じるはトニー・レオンこと梁朝偉)の闘いと淡い恋を中心に描かれていきます。
作品の軸となるのが北の八卦掌の宗師宮保田(王慶祥)が引退宣言をした事に端を発した南北武林界の後継者争いで、そこに送り込まれた葉問が彼を待ち受ける各門派の武術家たちと激闘を繰り広げます。まず映画の冒頭で、葉問と雨中の対決を見せるのが何と黎烈弓ことカン・リーで、ここで私は初めて葉問に扮したトニーのクンフー・アクションを目の当たりにしたんですが、結論から言いますと・・・今回のトニーは不慣れなクンフー・ファイトに直面しながら彼なりに大変頑張っていますし、武術指導の袁和平が構築した葉問の詠春拳アクションも実にリアルで華麗な武打シーンに仕上がっています。
さらに葉問は八卦掌の女武術家、洪家拳の名手(演じるは劉家良の甥である劉家勇。拍手!)、あるいは羅莽らを次々と撃破していくんですが、私は特にトニーvs劉家勇戦の俊敏で鋭角的な詠春拳とパワフルな洪家拳の真っ向激突ファイトが大変気に入りました♪
ただですね、この『グランド・マスター』は映画の中盤辺りで葉問と対決し、後にお互いに恋心を抱くようになる女武術家で宮保田の一人娘宮二こと宮若梅(山東省済南市出身で八卦掌の名手だった施剣翹がモデル)に扮した章子怡が物語の中心になって来ると、途端にトニー葉問の存在が薄くなってしまうんですよ(苦笑)。
それほどこの『グランド・マスター』における章子怡の圧倒的なまでの美貌、それも成熟した女性としての凛とした美しさは素晴らしく、ここは女性をこれだけ美しく撮る事が出来る“映像作家”としての王家衛には改めて敬意を表さないわけにはいかないでしょう。
そしてこの『グランド・マスター』最大の見せ場が映画の終盤の宮二と怨敵である形意拳宗師の馬三(演じるは張晉!)が2人の真横を列車が猛スピードで突っ走る線路脇で延々と繰り広げる大決闘です。ここでの章子怡演じる宮二が馬三相手に見せる女性としての繊細さを残しつつも馬三に次々と強烈に叩き込まれる連続の掌打攻撃は文字通り圧巻で、この宮二vs馬三の一騎打ちを見ていると「ああ、章子怡が初めて挑んだ本格派のクンフー映画をこうして観られるなんて何て我々は幸せなんだろう!」と心から実感させられてしまうほど、この『グランド・マスター』のツィイーちゃんは本当に素敵でしたねえ!(シミジミ)。
最後に、この『グランド・マスター』が同じく葉問と詠春拳を題材とした甄子丹ことドニー兄貴主演版『イップマン/葉問』シリーズを映画として凌いだか?と言えば、それは勿論NOでしょう。
その根拠として主人公である葉問に扮したトニー自身が卓越した演技者ではあるものの、武打星としてはドニー兄貴が見せたようなまさに指の先まで力強く気合いが込められた詠春拳術を体現するにはややパワー不足だった事と、こと武打シーンに限ってはこれまで場数を踏んで来た章子怡の武打パフォーマンスと比べるとどうしてもトニーの印象が希薄になってしまい、そのため映画の途中からはトニーが主役の座を章子怡に譲ってしまったような印象を観客に与えてしまう・・・などの理由が挙げられます。
ただそうは言いながらも、この『グランド・マスター』は私が事前に予想していた作品の出来とはかなり良い意味で異なる完成度で、私は『グランド・マスター』は是非もう1度劇場の大スクリーン&日本語字幕付きで観直してみたい作品ですし、1人の表現者としては言うまでもなく超一流であるトニーには、今後さらに年齢を重ねた晩年の葉問を味わい深く演じて欲しい!との強い思いに駆られました。