さて、ドニー兄貴最新主演作のレビューをいち早くお届けする「THIS IS 甄子丹」第２２回は麥兆輝＆莊文強聯合導演、そして我らが甄子丹主演『關雲長』（１１）でいきましょう！
まず映画は關雲長（ドニー兄貴！以下關羽）の葬儀のシーンから始まり、そこから時を遡り、劉備（演じるは方中信！ただし出番は少ないです）が東征してきた曹操（姜文。堂々の貫禄！）からの攻撃を受け袁紹の許に逃げ延びると、關羽は曹操に囚われるのですが、その際に曹操は關羽を偏将軍に任命し、非常に手厚く礼遇したという辺りが物語の導入部分となっているようです。
また關羽といえば“青龍偃月刀”なる薙刀を得意とする武将として知られていますが、今回も序盤の曹操と袁紹の合戦の場面、所謂“白馬の闘い”で袁紹軍の将の顔良（何と演じるは邵氏公司武打星の銭小豪。でも老けたなぁ！）を關羽が高々と跳躍しての薙刀の一撃で真っ二つにするシーンを初め、劇中ではドニー兄貴演じる關羽の豪快かつ斬新なウェポン・アクションが冴えに冴え渡っています。
またこの『關雲長』における關羽と曹操の友情と対立と共に、もう一つ作品の重要なテーマとなっているのが關羽と劉備の妻嫂子（孫儷）の許されぬ恋です。
以前から劉備の妻に密かに想いを寄せている關羽は、ゴロツキ兵士たちが嫂子を襲おうと寝静まった村に姿を見せた時も、手にした短刀でゴロツキ兵士たちの喉を次々と斬り裂き撃退するなど、幾度となく最愛の女性を陰から守り抜くのでした・・・。ただ今回この『關雲長』で最も完成度が高く、また龍熱一番のお気に入りのファイト・シーンが、關羽と孔秀（演じるは安志杰！）の狭い路地裏を舞台とした馬上の大チェイス・シーンなんです！孔秀の部下に嫂子を眼前で連れ去られた關羽は直ぐに馬に飛び乗ると追撃を開始！それを単身追う孔秀！２人の武将を乗せた２頭の馬は曲がりくねった路地裏を疾走！關羽は背後から自分を追走して来る孔秀に気ずくと、自分も馬上のまま傍らの煉瓦を薙刀で「ガラガラガラガラ！」と薙ぎ倒し孔秀の進路を妨害！やがて路地裏に降り立った關羽と孔秀はお互いの薙刀と長槍を激しく打ち付け合い激闘を展開しますが、ここで關羽が愛用の薙刀を己の身体に巻き付かせるように旋回させながら、あらゆる角度から猛然と孔秀を攻め立てていく怒涛のファイティング・シークエンスは、まるであの『ワンチャイ／天地大乱』（９２）で李連杰演じる黄飛鴻を布棍を駆使して徹底的に追い込んで見せたドニー兄貴“伝説的キャラ”納蘭元述提督の雄姿を彷彿させるほどの見事な立ち回りに仕上がっていて、まさに必見のファイト・シーンです。と言うか、これまでルックス的にも、アクション的にもイマイチ甘さの残る武打星との印象があった安志杰ですが、この孔秀に扮した安志杰の見違えるような精悍な面構え、鬼気迫る迫力で關羽に執拗に闘いを挑む姿は「ああ、これでアンディも完全に一皮剥けたな！」と私たちに実感させるだけの十分な説得力に満ちていて、いずれにしろ今後の安志杰の出演作は要チェックでしょう。
他にも關羽ｖｓ弟分で毒針使いの韓福（聶遠）、關羽ｖｓ王副官（王学兵）の大刀合戦など数々の素晴らしい闘いが用意されている『關雲長』なんですが、それに加えて近年のドニー兄貴がその自身の主演作品で一際高く評価されているその卓越した演技力が今回も圧巻の佇まいで、まさにドニー兄貴が寡黙で誇り高き武将關羽の苦悩と闘いの日々を実に堂々と、また繊細に演じ切っている点にも是非とも注目したいと思います。
またドニー關羽と同じくこの『關雲長』の最も重要なキャラクターである曹操に扮した“名優”姜文の時にドニー關羽を食ってしまうほどの圧倒的な存在感と重々しいまでの貫禄は、終盤の皇帝を前にした關羽と曹操の息詰まる応酬でも逆に主役の關羽よりも曹操の方が観客にインパクトを与えてしまうという（苦笑）、ドニー兄貴信者からすればある意味皮肉な展開になってしまっているのが、個人的には何とも複雑な心境ではありました・・・。
そして、映画の最後ではドニー兄貴こと關雲長が愛用の薙刀を豪快に一振りした後、仁王立ちのままその代名詞である鬚髯を悠然と撫でる“關帝聖君”の構えを披露し、映画は劇終となります。格調高く透き通るような映像美の中、今も多くの民衆から愛される伝説の武将關羽に“最後の本格派”が挑んだ『關雲長』、是非何らかの形での日本公開を望みたいですね。
最後になりますが、今回本作『關雲長』の映像を快く提供下さった家有喜事さんに厚く感謝します。ありがとうございました！
まず映画は關雲長（ドニー兄貴！以下關羽）の葬儀のシーンから始まり、そこから時を遡り、劉備（演じるは方中信！ただし出番は少ないです）が東征してきた曹操（姜文。堂々の貫禄！）からの攻撃を受け袁紹の許に逃げ延びると、關羽は曹操に囚われるのですが、その際に曹操は關羽を偏将軍に任命し、非常に手厚く礼遇したという辺りが物語の導入部分となっているようです。
また關羽といえば“青龍偃月刀”なる薙刀を得意とする武将として知られていますが、今回も序盤の曹操と袁紹の合戦の場面、所謂“白馬の闘い”で袁紹軍の将の顔良（何と演じるは邵氏公司武打星の銭小豪。でも老けたなぁ！）を關羽が高々と跳躍しての薙刀の一撃で真っ二つにするシーンを初め、劇中ではドニー兄貴演じる關羽の豪快かつ斬新なウェポン・アクションが冴えに冴え渡っています。
またこの『關雲長』における關羽と曹操の友情と対立と共に、もう一つ作品の重要なテーマとなっているのが關羽と劉備の妻嫂子（孫儷）の許されぬ恋です。
以前から劉備の妻に密かに想いを寄せている關羽は、ゴロツキ兵士たちが嫂子を襲おうと寝静まった村に姿を見せた時も、手にした短刀でゴロツキ兵士たちの喉を次々と斬り裂き撃退するなど、幾度となく最愛の女性を陰から守り抜くのでした・・・。ただ今回この『關雲長』で最も完成度が高く、また龍熱一番のお気に入りのファイト・シーンが、關羽と孔秀（演じるは安志杰！）の狭い路地裏を舞台とした馬上の大チェイス・シーンなんです！孔秀の部下に嫂子を眼前で連れ去られた關羽は直ぐに馬に飛び乗ると追撃を開始！それを単身追う孔秀！２人の武将を乗せた２頭の馬は曲がりくねった路地裏を疾走！關羽は背後から自分を追走して来る孔秀に気ずくと、自分も馬上のまま傍らの煉瓦を薙刀で「ガラガラガラガラ！」と薙ぎ倒し孔秀の進路を妨害！やがて路地裏に降り立った關羽と孔秀はお互いの薙刀と長槍を激しく打ち付け合い激闘を展開しますが、ここで關羽が愛用の薙刀を己の身体に巻き付かせるように旋回させながら、あらゆる角度から猛然と孔秀を攻め立てていく怒涛のファイティング・シークエンスは、まるであの『ワンチャイ／天地大乱』（９２）で李連杰演じる黄飛鴻を布棍を駆使して徹底的に追い込んで見せたドニー兄貴“伝説的キャラ”納蘭元述提督の雄姿を彷彿させるほどの見事な立ち回りに仕上がっていて、まさに必見のファイト・シーンです。と言うか、これまでルックス的にも、アクション的にもイマイチ甘さの残る武打星との印象があった安志杰ですが、この孔秀に扮した安志杰の見違えるような精悍な面構え、鬼気迫る迫力で關羽に執拗に闘いを挑む姿は「ああ、これでアンディも完全に一皮剥けたな！」と私たちに実感させるだけの十分な説得力に満ちていて、いずれにしろ今後の安志杰の出演作は要チェックでしょう。
他にも關羽ｖｓ弟分で毒針使いの韓福（聶遠）、關羽ｖｓ王副官（王学兵）の大刀合戦など数々の素晴らしい闘いが用意されている『關雲長』なんですが、それに加えて近年のドニー兄貴がその自身の主演作品で一際高く評価されているその卓越した演技力が今回も圧巻の佇まいで、まさにドニー兄貴が寡黙で誇り高き武将關羽の苦悩と闘いの日々を実に堂々と、また繊細に演じ切っている点にも是非とも注目したいと思います。
またドニー關羽と同じくこの『關雲長』の最も重要なキャラクターである曹操に扮した“名優”姜文の時にドニー關羽を食ってしまうほどの圧倒的な存在感と重々しいまでの貫禄は、終盤の皇帝を前にした關羽と曹操の息詰まる応酬でも逆に主役の關羽よりも曹操の方が観客にインパクトを与えてしまうという（苦笑）、ドニー兄貴信者からすればある意味皮肉な展開になってしまっているのが、個人的には何とも複雑な心境ではありました・・・。
そして、映画の最後ではドニー兄貴こと關雲長が愛用の薙刀を豪快に一振りした後、仁王立ちのままその代名詞である鬚髯を悠然と撫でる“關帝聖君”の構えを披露し、映画は劇終となります。格調高く透き通るような映像美の中、今も多くの民衆から愛される伝説の武将關羽に“最後の本格派”が挑んだ『關雲長』、是非何らかの形での日本公開を望みたいですね。
最後になりますが、今回本作『關雲長』の映像を快く提供下さった家有喜事さんに厚く感謝します。ありがとうございました！