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THIS IS 甄子丹(87) 「ネタバレ上等!葉問3激闘三番勝負」① 急襲!ムエタイ拳士編

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さあ、始まりました!「ネタバレ上等!葉問3激闘三番勝負」第1回ですが、まずは映画の中盤に登場する葉問vsムエタイ拳士の闘いからスタートです。
葉問の息子である葉正も通う学校を我が物にしようとする不動産業者フランク(マイク・タイソン)は自分の子分の馬(譚耀文)の度重なる失敗に業を煮やし、目の前の馬が持つパンチングミットに「ユーの顔は2度と見たくねえ!失せろ!」と怒りの連続パンチを叩き込みます!
「あわわわ!ボス!勘弁して!全部あの葉問の野郎のせいでさあ!うひゃあああ!」パニックとなった馬を止めの右ストレートで吹っ飛ばしたフランクは、自分の後ろに控えるザンバラ髪で腕に不気味な刺青を入れた屈強なムエタイ拳士(サラット・カアンウィライ)に唸ります。「葉問だとぉ・・・おい、奴を始末して来い!」

愛妻の張永成(熊黛林)の病に鎮痛の日々を過ごす葉問(ドニー兄貴)は、それでも毎日のように永成の通院に同行しており、この日もビル内にある薬局で薬を受け取ると、2人は寄り添うようにエレベーターに乗り込みます。
そして葉問が二重になっているエレベーターの扉を閉めようとした時!
「ガチャッ!」その扉を抑え、異様な風貌のタイ人が強引に乗り込んで来た・・・!
「!」葉問は直ぐにそのムエタイ拳士が放つ異様な殺気を察知し、永成を守るように一歩後退すると手に持っていた薬をソッと妻に渡します。
(ここで葉問の後ろで永成が見せる「何、この人?ガチでキモいわ。何かマジでヤバそう。早くこのエレベーターから出てって!」的な表情に注目(^_^))
「ボキボキ!」前を見たまま悠然と首を捻りサンダルを脱いだムエタイは、エレベーターの扉が閉まった瞬間、それが闘いのゴングかのように突如背後の葉問に後ろ廻し蹴り!それを寸前でカワす葉問!
無言で猛然と突きや蹴りを自分に叩き込んで来るムエタイの攻めを全てブロックする葉問ですが、やがてムエタイの攻撃が永成までもターゲットに入っている事を悟ります!!「あうっ!」「ああっ!」自分に襲いかかるタイ人の暗殺拳がエレベーター内の壁を突き破る度に何度も恐怖の悲鳴を上げる永成!!
その一撃一撃を寸でのところで防御し続ける夫の葉問は、5階から降り始めたエレベーターが3階で止まったのを確認すると、ムエタイの殺人兵器である蹴りの動きを自分の足で固め、もう一方の足でエレベーターの扉を蹴り開け、そのままムエタイの背中に拳を叩き込む!
「ぐあああ!?」その衝撃でエレベーターから飛び出たムエタイと一緒に逆に乗り込もうとしていた男性も吹っ飛ぶ!直ぐに態勢を整え、外で葉問に対して身構えるタイの刺客。
「ガラガラ・・・ガシャーン!」葉問は愛する妻をエレベーターに残すと、ユックリとその扉を閉め、改めて眼前の暗殺者に対して内面に秘めた静かなる怒りと共に身構える!その夫の姿を下降していくエレベーターの小さな窓から祈るように見上げる永成・・・!
「ババッ!ババババッ!!」エレベーターから階段の踊り場に闘いの場を移しながら、激しく攻手する葉問とムエタイ。
「ぬおおお!だああああ!」気合いと共に壁を飛び、変則的な連続蹴りを叩き込んで来るムエタイの猛攻を冷静かつ淡々とブロックし、また的確に反撃していく葉問。
次第に葉問の強烈な蹴りが何度もムエタイに炸裂し、ムエタイのダメ―ジが蓄積していく中、2人の戦士は階段を1階、また1階と下りながらひたすら拳と蹴りを打ち付け合う!!
そして闘いがビルのグランドフロア(1階)に達しようとした時、葉問が放った強烈無比の打撃と投げ技のコンビネーションで何度も床に叩き着けられたムエタイは戦意喪失となり、遂に勝負は決したのでした。

この葉問vsムエタイ拳士の闘いは、映画の冒頭の師弟の腕比べを除けば、葉問が劇中で初めて本格的な1対1の決闘に挑むシーンです。
要するにこの葉問vsムエタイ拳士戦は、この「葉問3」の武打シーンのレベルを真の意味で観客に問いかける重要なファイトシーンでした。
皆さんは過去のドニー兄貴の主演作品で、このエレベータ―という狭い空間で主人公が自分に迫る暗殺者と激しく闘う、といったユニークで斬新なシチュエーションのファイトシーンがあった事をご存知でしょうか。そう「導火線」でのドニー刑事vs釈行宇の闘いがそれです。
この「導火線」のファイトシーンでは銃を持った釈行宇にドニー刑事が同乗していた婦人警官(って実は現在のドニー兄貴の奥さんの妹さん♪)を守りながら闘う、というこれまたスリリングなアクションでしたが、今回の「葉問3」では葉問が暗殺者の魔手から愛する妻、それも病に苦しむ愛妻を守りながらの闘いを強いられる、という「導火線」のそれをさらにパワーアップしたバージョンとして構築されており、その狭い空間でこそ威力を発揮する詠春拳の特色と破壊力を十二分に描き切っている部分と共に特筆されるシーンでしょう。
また葉問が永成をエレベーター内に残し、敢えて永成を振り返り事もなく静かにエレベーターの扉を閉め、改めてムエタイとの闘いに挑むシーンは、自分だけでなく家族の命さえも狙う刺客に対する葉問の静かなる怒りが爆発する前兆として実に見事なシーンです。
そして闘いに勝利した葉問がムエタイ拳士に「行け!」と退去を促し、降りて来たエレベーターから出て来た永成とただ黙って見つめ合い、床に落ちた薬を拾い、静かに手を取り合いその場から歩み去るシーン。
ここは夫である葉問に対する張永成の揺るぎない信頼と愛がシッカリと観客に伝わって来る素晴らしい風景でした。
余談ですが、このエレベーターのシーンの最後でエレベーターの入り口の「G」との表記が映ります。これは当時の香港がイギリス領だった事から、1階をグランドフロア(Grand Floor)と表記する習慣があったためです。
このグランドフロアの表記に関しては、以前にリーさんこと李小龍が「死亡遊戯」制作の際に自分がスケッチした五重塔の設定メモ、いわゆる「進攻計画」で“蹴りのエキスパート”黄仁植が守るフロアの表記が果たしてそのままのグランドフロアか、それとも1階かで、私たち「死亡遊戯」研究者たちの間で喧々諤々の討論となった事も今では懐かしい思い出です(^_^)。
さあ、次回の「ネタバレ上等!葉問3激闘三番勝負」は、事実上のクライマックスである葉問vsフランクの世紀の対決です。「葉問3」、まだまだ語り足りません!!

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