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THIS IS 甄子丹(88) 「ネタバレ上等!葉問3激闘三番勝負」② 3分決死戦!拳王フランク編

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さて、「ネタバレ上等!葉問3激闘三番勝負」第2回は、本作「葉問3」の事実上のクライマックスと言っても良い葉問vsフランクの対決です。
フランクが送り込んだ刺客であるムエタイ拳士を撃退した葉問(ドニー兄貴)は、全ての元凶である不動産王フランク(マイク・タイソン)との直接対決を決意します。
葉問はフランクの事務所にたった1人で乗り込むと、1階の広場でフランクの妻と娘が楽しげに遊ぶ姿を横目にフランクが待つ事務所の2階への階段を上がっていきます。「ダンダンダンダン・・・!」葉問が事務所に入ると、目の前でパンチングバッグを黙々と叩くフランクの姿がありました。
葉問は「私に用があるそうだな。こうして会いに来たぞ!」と広東語で声をかけます。「ババァン!」その葉問の言葉を背中で聴いたフランクはパンチングバッグに強烈な一発を叩き込むと、憤怒の表情で葉問に振り返り、そのまま葉問に向かってユックリと歩を進めます。
「ユーが葉問か?中国じゃNo.1のファイターだそうだな?面白いじゃねえか。よし、こうしよう。ユーの詠春拳は相当早いらしいな。無敵なんだな?ユーの拳か、俺の拳か、どっちが早いか?3分勝負だ。もしユーが俺のパンチを3分間耐えられたら・・・ユーの勝ちだ!」
フランクは葉問の返事も待たずに自分のデスクにある時計を手に取り、アラームを3分間にセットすると、ジッと葉問を見つめ返答を待ちます。
「ババッ!」葉問は返事の代わりにフランクに向かって身構え、闘いが火蓋を切る・・・!
「ダダッ!ダダダッ!」フランクは態勢を低くしたクラウチング・スタイルで構えると、そのまま葉問に突進しながら、いきなり挨拶代わりの右ストレート!
葉問はそれをブロックしますが、ここで葉問はフランクのパンチの破壊力が尋常ではない事を悟ります。さらにフランクはジャブを繰り出し葉問に迫りますが、葉問はそのラッシュをデスクに駆け上り、デスク上から蹴りを連発して防ぎますが、フランクにその足を掴まれ、床に投げ落とされます。
その一瞬の隙を突かれ葉問はフランクの左のフックの連打を浴びるも、直ぐに横蹴りをフランクの胸板に決めます!
シャツに着いた葉問の蹴り跡を手で払いながら「ニヤリ!」と余裕の笑みを見せるフランク。
フランクの猛攻は続き、窓を背にしそのままサイドに逃げる葉問を追って次々と連続のパンチで窓ガラスを割りまくる拳王フランク!そして強烈なボディブローが葉問に炸裂!!!
その衝撃で大きく後方に吹っ飛んだ葉問は辛うじてその場で踏み止まると、何とかこの劣勢を挽回しようとジッと歯を食いしばりフランクの動きを注視します。
それを見たフランクは不敵な笑みを浮かべながら葉問を指差し、そのままその指を自分の喉元に向けながらユックリと「You are dead man !!」と横に切り裂くポーズで挑発!!
葉問はそんなフランクの挑発行為にも動じる事も無く、再び身構えるとユックリと腰を落としそのまま静止し、その態勢でフランクに「来!来!」と手招きし、再び戦闘開始!!葉問は突進して来たフランクの下半身に攻撃を集中させ、脚への連続の正拳突きからフランクの脚を取り横転させると、上からフランクの顔面に再び連続の正拳突き!!
この闘いで初めて慌てた表情を見せたフランクは、それでも葉問のガラ空きの脇腹に破壊力満点の左ボディを叩き込む!またも窓際まで吹っ飛ぶ詠春宗師!!
このフランクの左のボディブローのダメージは大きく、葉問は立つのもやっとなりますが、それでも何とか窓際でヨロヨロと立ち上がると、敢然とフランクに身構えます。フランクは「全くしぶとい野郎だ!」とウンザリした表情ながら再び拳を握り直すと、目の前の小柄な中国人武道家に止めを刺すべく、猛然と窓際に突進!
葉問は窓を背にフランクの左右のフックを自分の両腕で最も固い部分の肘で受け止めますが、フランクはその葉問のブロックを掻い潜り、またも強烈無比なボディ攻撃!!
「ぐはあ!・・・」この左の一撃は葉問の身体が背後の窓を突き破るほどの衝撃となり、その葉問の苦痛に歪んだ表情は既に肉体的に限界寸前まで来ている事を表しますが、それでも葉問は最後の力を振り絞りフランクに怒涛の連続蹴りを叩き込むと、後退したフランクの顔面目掛けて電撃の手刀を放つ!
「ウガアァ!」その手刀の激痛に絶叫するフランク!!さらに葉問はフランクの股間にショートレンジの蹴り!フランクも葉問の顎に右のアッパー!
その瞬間!「ジリリリリリリ・・・!」“世紀の3分勝負”終了を知らせる時計が鳴った。

こうして、この「葉問3」最大のクライマックスである葉問vsフランク戦はお互いの股間蹴りとアッパーカットを時計のベルが鳴った瞬間に2人が“寸止め”する事で引き分け、との印象を観客に与えて終了となります。
ただ個人的にはもしボクシングで言う所の「判定」があったとしたら、やはりフランクの「判定勝ち」でしょうね。何故って普通ならプロボクシング世界ヘビー級王者のパンチ、それもグローブも着けてない素手のパンチを何発も浴びて無事でいる人間はまずいません。下手したら内臓破裂で即死か、良くてもパンチドランカーになってしまうでしょう(^_^;)。
ただそれも逆に言えば、ドニー葉問が特別ゲストであるタイソンのキャラクターとしての持ち味を十分に引き出して見せたからこその葉問の劣勢だったとも言えます。
また闘いの最中に追い込まれた葉問が腰を低く落とし、そのままの態勢でフランクの攻撃を待ち、そこから逆襲に転じる戦闘法。
このユニークかつ斬新な葉問の戦闘スタイルについては、ドニー兄貴の右腕にしてアクション映画監督の谷垣健治監督に訊いたところ、健治監督から以下のような回答を頂きました。

健治監督「うーん、僕も詠春拳のことあんまり知ってるわけじゃないから何とも言えないんですけど、アクション的に言うと、ボクシングの上半身中心の攻撃に対して、下半身を攻めるというギミックを観客にわかりやすいように表現しているんだと思いましたが。この低さだとお前攻撃しにくいだろ?攻撃してきたが最後、バランス崩した下半身を攻めますよ、みたいな」

うう~ん、なるほど!確かにこの葉問のフランクの下半身への攻撃から闘いの形勢が葉問に傾いていくわけで、皆さんも「葉問3」をBly-rayやDVDでご覧になる際は、その辺りもジックリと観直してみて下さい。健治監督、回答ありがとうございました。
これまでの香港クンフー映画でも、中国人武道家vs西洋の挌闘家のファイト・シーンは古くは「馬永貞」(72)の陳観泰vsマリオ・ミラノ(全日本の常連プロレスラー)、「バトルクリーク・ブロー」(80)の成龍vsハードボイルド・ハガティ、「スパルタンX」(84)の成龍vsベニー・ユキーデ、「SPIRIT/霍元甲」(06)の李連杰vsネイサン・ジョーンズなど数多くの対決がありましたが、それら全てもこの「葉問3」のドニー兄貴vsマイク・タイソン戦の前には翳んでしまうのは仕方がないでしょう。
それだけプロボクシング世界統一王者として一時代を築いたタイソンの知名度と存在感は大きいし、例えは極端かも知れませんが、このドニー兄貴vsタイソンの対決のインパクトに対抗出来るのは1976年に東京で行われたアントニオ猪木vsモハメド・アリの「格闘技世界一決定戦」だけでしょう。改めて、よくぞタイソンが出演をOKしたと思います。
またこのタイソン演じるフランクの劇中でのキャラも、小学校を手に入れるためなら手段を選ばない冷酷な顔を持ちながら、その反面、自分の子供には「風船が欲しいならまた買ってやるからな♪」と子煩悩な優しさも見せるなど、人間味溢れる部分も描かれていました。
その素人並みのぎこちない演技力はともかく、タイソンがこのフランク役でマカオ国際映画祭の最優秀新人賞を受賞した事は大変喜ばしい事だと思います。
そして何よりも、このドニー葉問vs拳王フランク戦が単なるタイソンの顔見世出演ではなく、ドニー兄貴とタイソンが真っ向から、そして真剣に勝負を挑んだ“決死の3分勝負”として描かれた事が私は何よりも嬉しいのです。
「葉問3」、まだまだ語り足りません!!

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