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Channel: 超級龍熱
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誰も知らない本当の母、そして本当の妻の姿。ヨアキム・トリアー監督「母の残像」11月公開。

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昨日は都内某所で、ヨアキム・トリアー監督、ガブリエル・バーン&ジェシー・アイゼンバーグ主演「母の残像」(15)を試写で観て来ました。
3年前に事故で急死した著名な戦場女性カメラマンのイザベル(イザベル・ユペール)。残された夫ジーン(ガブリエル・バーン)、長男ジョナ(ジェシー・アイゼンバーグ)と次男コンラッド(デヴィン・ドルイド)は愛する妻であり母親だったイザベルの死に必死に耐えながら生きていました。
特に誰よりも深くイザベルを愛していたコンラッドの憔悴と悲しみは深く、コンラッドと同じ学校で教師をしている父のジーンとは絶えず衝突する毎日でした。
そんな時、若くして大学の教授となり、妻との間に子供も誕生した長男のジョナが帰省して来ます。
そこでジーンはジョナにジーンの友人でイザベルの仕事のパートナーだったリチャード(デビッド・ストラザーン)がイザベルの偉大な功績を称える写真展を企画していて、同時期にニューヨークタイムズにイザベルの死が事故ではなく自殺(!)だった、という本当の事実を書くつもりらしいと告げます。
実はイザベルの死の真相は当時まだ幼かったコンラッドには伏せられていて、ジョナはジーンに母の死の真相は絶対に告げるべきではない!と反対します。
さらに亡き妻であり母親イザベルの死に戸惑い苦しむジーンたち家族3人は、それぞれが別の秘密を抱えていました。
同じ学校の女性教師と深い関係になっているジーン、イザベルが撮った写真の整理中に母とある男性が一緒のベッドにいる写真を見てしまったジョナ、同級生の女学生に片思いしているコンラッド。
亡き母への思いと共に別々の苦しみを抱えているジーンたちですが、やがて最も精神のバランスを崩していたコンラッドが学校である事件を起こしてしまいます。
そして遂にコンラッドが母の死の真相が掲載された新聞を目にする時が・・・・!
幾多の悲しみを乗り越えて、ジーン、ジョナ、コンラッドは、果たして再び家族の絆を取り戻す事が出来るのでしょうか。

ジョナが長男が生まれた病院で母親を亡くしたばかりの昔のガールフレンドに会い、自分には子供が生まれた事を言いそびれてしまい、逆に妻が亡くなった(実際は元気)と言ってしまうシーンや、ガブリエル・バーン扮するジーンが昔は俳優志望だった、との設定でバーンの出演作の映像がそのまま登場する楽屋落ち的なシーンなど、どうしても暗くなりがちなストーリーにさりげなくユーモアも織り交ぜている点は感心しました。
ただ母親が戦場カメラマンだった事と、その母親の死が実は自殺だった、との2つの設定がどうも最後までちゃんとリンクしていない印象を受けました。
またイザベル役のイザベル・ユペールですが、個人的にはこの映画の役は彼女には合っていないと思いました。
逆に2人の息子を優しく見守る父ジーン役のガブリエル・バーンの穏やかで温かい存在感は素晴らしかったですし、ジェシー・アイゼンバーグもハードなアクションで勝負した「エージェント・ウルトラ」(15)とは全く異なる弟思いの繊細な長男役を好演していましたね。
この「母の残像」は11月26日より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショーとの事です。

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