Quantcast
Channel: 超級龍熱
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1862

熱風!韓国LEGENDS(48) 金泰中:追悼特別企画 “闘神の影武者”よ、永遠に・・・そして安らかに!

$
0
0
さて、「熱風!韓国LEGENDS」その第48回は、先日急逝しました“最強の影武者”唐龍こと金泰中(即:金泰靖)の緊急追悼特集です。
先月27日に57歳の若さで死去した唐龍こと金泰中の訃報を最初に目にした時はまさに茫然自失の一言でした。海外の某フォーラムで「R.I.P」の文字と共に金泰中が急死したとの記事を目にした時の私の気持ちは「ええっ?どうして!?」と言った感じで、暫くその事実を受け入れられない状態でした。
金泰中と言えば、ロバート・クローズ監督作品『ブルース・リー死亡遊戯』(78)におけるリーさんことビリー・ローのメイン・ダブル、そして呉思遠導演作品『ブルース・リー死亡の塔』(81)におけるビリー・ローの弟ボビー・ローなど、私たちリー信者にとっては長きに渡って様々な意味で身近な存在だった武打星でした。
ただ80年代序盤に競うように設立されたブルース・リーのFCの内、BFCとイエナに入会していた私ですが、その当時から金泰中はFCの会員たち、特にリーさんのガチンコ信者の間では他の何宗道、呂小龍、巨龍ら“ソックリさん御三家”と共に多少・・・いや相当疎んじられていて、とにかく「ソックリさんなんて興味ない!」「あんなのリーに全然似てない!」ともうボロクソだったわけです(苦笑)。
私もリー信者の1人としてそのガチンコと言うか正統派のリーさん信者の金泰中に対するある意味ストイックな評価は十分に理解出来ましたし、実際私も『〜死亡の塔』を劇場で初めて観た時のショックと虚脱感は今も決して忘れられないほどです(涙)。
あ、でもBFC在籍時の私はFCの会員同士でリーさんグッズのトレード&映像のダビング交換を頻繁にしていたんですが、そのトレードの常連仲間だった会員さん(当時他県在住の方で、お名前は伏せます)の1人が「あの・・実は僕、唐龍好きなんですよ・・・何か唐龍って良いと思いませんか?」と恐々と私に告白してくれたっけなぁ・・・思えばこの会員さんが金泰中の日本人ファン第1号だったんでしょうね(苦笑)。まあその後、金泰中の消息が日本に入って来る事が無くなった事もあり、私たちリー信者の金泰中に関する関心も次第に薄れていったんですが・・・実はこの時期の金泰中は既に母国の韓国に帰って『お嬢さん、我慢して下さい』(81)や『雙輩』(81)などの韓国映画に主演していたり、呉思遠の“シーゾナルUSA”作品『シンデレラ・ボーイ』(85)に出演したりと、それなりに映画活動は継続していたわけです。特に『シンデレラ・ボーイ』においてカート・マッキニー相手に“リー先生”を毅然と演じた金泰中の素晴らしいパフォーマンスは、それまで頑なだったリー信者たちの心の奥底にも確かに届いたほどの名演でした。ところが1990年代中盤、金泰中の名が一躍インターネット上で大きくクローズアップされる時がやって来ます。そう、それが私を含めた『死亡遊戯』&『死亡の塔』ウォッチャーたちにいま現在でさえも最大級の興奮と衝撃を残している「Kim Tai Jung Home Page」なる名称のサイトの登場でした。
このサイトで金泰中(あのサイトの扉に掲載された眼鏡姿の男性は金泰中の友人と言われたりしていますが・・・うう〜ん?)が語る『死亡遊戯』や『死亡の塔』の製作秘話は、文字通り驚愕の真実に満ち溢れていて、それは1975年から既に製作プロジェクトがスタートしていた『死亡遊戯』の幾つものバージョンの撮影の道程や詳細に始まり、78年版『死亡遊戯』撮影中のサモ・ハンやボブ・ウォールのエピソード、『死亡の塔』へのジャッキー・チェン出演未遂事件や何故かジャッキーの生々しい女性観(ここは何度読んでも凄い!)にまで言及していたり、金泰中を可愛がっていた陳恵敏と韓国人武打星の軋轢などなど・・・本当にそれまで私たちが知りたかった『死亡遊戯』&『死亡の塔』の謎に対する多くの答えがそのサイトにはあったわけです。
そう言えば、この当時トビー・ラッセルの友人が金泰中のサイトに『死亡遊戯』&『死亡の塔』の重要質問事項をメールしたら、ちゃんと金泰中からそれは丁寧かつ詳細な返信が来たそうで、私もトビー監督からその金泰中の返信メールの全文を貰ったんですが、これがサイトにも殆ど書かれていない超ド級の秘話満載だったのに唖然としたのを覚えています。
近年再び韓国のマスコミの前に姿を見せた金泰中がネット上などで様々な事柄を語っていましたが、そのインタビューのどれもが内容的には淡白で、私自身は今ひとつ物足りない記事ばかりでした。そういう意味でも如何に「Kim Tai Jung Home Page」の内容が私たちにとって衝撃的かつ刺激的だったのかが改めて思い知らされるわけです。
で、この「Kim Tai Jung Home Page」には金泰中の「今後のスケジュール」的な日程表も載っていてですね、やれ某日某には黄正利と会食とか、やれ某日某には誰々のインタビューを受ける予定とか色々と書き飛ばされていたんですが(苦笑)、そんな金泰中の日程の中に「某日某、『死亡の塔』韓国バージョン観賞予定」と記されていたのを私は見逃しませんでした。
そう、この金泰中のHPで私は『死亡の塔』に韓国バージョンが存在するという確固たる証拠を初めて知り得たわけです!その後私が『死亡の塔』韓国バージョンの詳細を日本初の形で紹介するに至るプロセスはこれまでにも多方面で触れているので、ここでは敢えて繰り返しませんが、恐らく金泰中自身も当時から『死亡の塔』韓国バージョンのVHSを所有していて、それこそ自宅などで何度も観ていたのかと思うと・・・何か嬉しいと言うか微笑ましい気持ちですね(笑顔)。
さて、これまで私は金泰中とその出演作品において直接関わった人物では2人の関係者と会っています。1人は『死亡の塔』で金泰中と共演した“謎のジージャン男”こと加藤寿さん。私が加藤さんに金泰中の印象を訊くと、加藤さんは懐かしそうに「ああ〜唐龍かぁ!彼は静かな男でねえ。空港から一緒に車に乗ったりするシーンを撮ったけど、いや懐かしいです!」と爽やかに答えてくれました。
改めて加藤さんと金泰中について色々と語り合えた事は、私自身本当に感激の思い出となりました。
そしてもう1人が『ブルース・リー死亡遊戯』の武術指導として金泰中vsボブ・ウォールの“ロッカールームの死闘”、そして金泰中vs王虎の“温室の決闘”の2大ファイト・シーンを撮った我らがサモ・ハンこと洪金寶です。私がサモ・ハンに『死亡遊戯』に関する様々な事柄を訊くと、サモ・ハンは「李小龍が残した『死亡遊戯』の武術指導を任された時は本当に嬉しかったよ。ダブルの金泰中?ああ、確かアイツはそんな名前だったな!(苦笑)。“温室の決闘”が素晴らしいファイトだって?そりゃお前、このサモ・ハンが撮ってるんだからな(笑)。ああ、金泰中と黄仁植のファイト・シーンは撮ったよ(このサモ・ハンの証言で同ファイト・シーンに言及していた「金泰中HP」の内容がより貴重かつ真実に迫っていた事が立証されたわけです)。どんなファイト・シーンかは写真とかを見れば色々思い出せるんだけどなぁ。黄仁植は昔に韓国に行った時にアイツにシゴかれてなあ。だからこの『死亡遊戯』の金泰中とのファイト・シーンの時は逆に俺が黄仁植を思い切りシゴイてやったぜ!ガッハハハ!」とそれこそ豪快に語ってくれたのでした。ただ私とサモ・ハンとのインタビューの中で、私が『死亡遊戯』関連の質問事項に関係する人物の名前を書いた紙、それも「金泰中or唐龍」と書いた部分を指差した時のそれを見るサモ・ハンの何とも“胡散臭そうな人間を見る目”と言うか“ああぁ、何かそんな奴いたっけなぁ!”的な表情が強く印象に残りました。恐らくサモ・ハンは私とのインタビューで『死亡遊戯』撮影当時の金泰中との様々な記憶を思い出したはずですし、もしかしたらその金泰中に関する思い出は、サモ・ハンにとっては余り良い思い出ではなかったのかも知れませんね・・・。
このサモ・ハンのリアクションからも察するように、金泰中という武打星にとっての映画人生は彼自身が大ファンだったブルース・リーが志し半ばで撮影中断した『死亡遊戯』という作品を完成させるために、製作側のある意味一方的な事情によって映画界入りのチャンスを掴んだものの、それは絶えずリーさんの“影武者”という十字架を背負わされた、何とも虚無感に満ちた映画人生だったのではないでしょうか。そのリーさんの輝くばかりの笑顔が最も多く見られる『ドラゴンへの道』(72)の役名である唐龍を襲名しながらも、何処か銀幕の中では暗い表情が印象に残った唐龍こと金泰中。その金泰中が急逝した事で、生前の彼が知り得た『死亡遊戯』&『死亡の塔』の多くの謎は永遠に闇の中となりました。また金泰中が企画していた自伝の発刊や次回作品『死亡之路(実にナイスな題名!)』も幻となってしまいました・・・。私自身、出来る事なら是非金泰中とは直接対面して『死亡遊戯』や『死亡の塔』の様々な事柄をジックリと訊いてみたかった・・・。誠に残念無念な気持ちです。
金泰中、いえ金泰靖さん、貴方は『死亡遊戯』“最強の影武者”として私たちに沢山の夢を与えてくれたのと同時に、韓国人武打星としてもトップクラスのクンフー・アクションを見せてくれました。本当にお疲れ様でした。どうか安らかに眠って下さい。合掌。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1862

Trending Articles