「五毒拳」以降、殆どの“五毒系列”作品で、反派、要するに悪役を引き受けていたのが鹿峯です。郭追や江生と同じく雑技隊で鍛えたそのアクロバットアクションはその厳つい顔(失礼)に似合わず素晴らしかった鹿峯ですが、実は鹿峯の武打星としての真骨頂は豪快にして華麗なウェポンアクションにありました。
鹿峯に槍や刀などを持たせたら、それこそ郭追ですら影が薄くなるほどで、結果鹿峯は1979年に「街市英雄」(79)で第5回亞洲影展の「動作片演技最突出男配角賞」を受賞します。
私が鹿峯の出演作品で最も印象に残っているのが「残酷復讐拳」(78)の鋼鉄の(飛刀機能付き)義手を付けた陳観泰の息子役です。
かつては無敵の武道家ながら、妻を殺され息子を不具者にされた悲しみから、次第に狂気に身を投じていく父親を陰からただジッと見つめる鹿峯少爺。
そんなエモーショナルな親子の風景が垣間見れる「残酷復讐拳」はこの時期の張徹作品の中では珍しく丁寧(ってオイオイ?)なキャラ設定が施された傑作武打片の1本です。
最後に鹿峯の“ちょっと良い話”ですが、鹿峯が羅鋭と共に武術指導を担当したジェット・レこと左考虎&トッド・セナフォンテ主演「精武風雲(はい、ドニー兄貴版はオリジナル題名じゃなかったんです)」で、製作のトビー・ラッセルが鹿峯に武術指導のギャラを渡そうとしたんですが、鹿峯は「いいよ、金なんか要らないよ!」と頑として受け取ろうとしません。
暫く鹿峯とトビーの追っかけっ子が続いた挙げ句、最後は鹿峯が自分の車の中に逃げ込んだのを見たトビー監督が車のワイパーにお金を挟んだところ、それを見た鹿峯が「トビー、ギャラは要らないって言ってるだろ!」とそのお金を掴むと地面に投げ捨てたそうです。
友人からはお金は取らない。そんな“男気”が素敵すぎる鹿峯ですが、そんな鹿峯がいざ「五毒拳」で毒ムカデに扮すれば、無抵抗の人間に「財宝の地図は何処だ、コラァァ!?」と冷酷非情な“毒ムカデ連続蹴り”を叩き込める。
そう、これが“天下第一槍撃高手”鹿峯の真髄であり、“暗黒武打片”「五毒拳」の底知れぬ魅力なのである。我ら“毒”を喰らわば“五毒”なり!!
Lu Feng a evil but amazing weapon master of Five Venoms.