以前から「観たい!欲しい!」と熱望していた試合映像を遂に超高画質ブルーレイで入手出来ました!(注:本稿初投稿時)。
それが1979年1月にテキサスで行われたNWA世界ヘビー級王者ハーリー・レイスに“大巨人”アンドレ・ザ・ジャイアントが挑戦した世紀の一戦です。
“ザ・サミット”と銘打たれ開催されたこの試合、私がどうしてもこの試合を映像で観たかったのには2つの理由がありました。
一つは当時のNWAルールである60分3本勝負として行われるこの試合で、“大巨人”となってからは誰にもピンフォールを奪われた事のないアンドレ相手に、当然王者として負けを許されないレイスがどうやって3本勝負の試合を組み立てていくのか?
2つ目の理由がこの試合前後にハルク・ホーガン、ブルーザー・ブロディ、エル・カネック、オットーワンツ、アントニオ猪木、長州力などに先んじて初めて“大巨人”をボディスラムで投げたレスラーであるレイスがこの試合でもアンドレをボディスラムで投げる事が出来るのか、以上の2つのポイントでした。
まさにブルーレイだけあって超高画質&試合音声クリアで再生されたこの試合、私の予想と反してアンドレがレイス相手にまるで日本での試合のような強烈な関節技やチョップなどを駆使したシリアスなストロングスタイルの攻防を見せていくのにビックリでした。
さらにアンドレが猪木戦以外では滅多に見せないハイアングルのブレーン・バスターをレイスに決めたばかりか、何と私自身が後にも先にも1度だけしか見ていないアンドレの豪快なダブルアーム・スープレックスがレイスに炸裂!!もうこれだけでも超お宝映像だ!!
ところが、アンドレの猛攻に追い詰められた王者レイスが本来の狂暴で危険な“喧嘩屋”の本性を露わにします。アンドレを場外に誘い出したレイスはアンドレを抱え上げると、何と!ボディスラムでアンドレをコンクリートの床に叩き着けた!!
その衝撃の瞬間を捉えた写真がご覧のスチールなんですが、さすがのアンドレもマットが無い固いコンクリートの床に直接真っ逆さまに叩き着けられる直前、恐怖からか右手で自分の巨体を支えようとしています。いや~レイスも無茶な事やりますねえ!(^_^;)。
レイスはそのままリング内に滑り込み、アンドレは場外ボディスラムのダメージでそのままリングアウト負け。1本目は王者レイスが先取しました。
なるほど、このような方法で“大巨人”から1本を取るとは場内の観客も納得でしょう。さすがに“Mr.プロレス”です。
2本目はレイスの“掟破り”の危険な技に怒ったアンドレが逆に場外でレイスをボディスラムに抱え上げると、そのままリング内にレイスを投げ込み(!)、そこに必殺のジャイアントプレスを決めて2本目を返します。
さらに決勝の3本目はエキサイトした両者が場外で乱闘となり、そのまま両者リングアウトで引き分け。レイスが自身の世界王座を辛うじて防衛しました。
アンドレは自分が信頼した相手にしかボディスラムで自分を投げる事を許さなかったと言いますが、あの前田日明戦のような“不穏事件”を起こすほどプロレスの“ルールと仁義”に拘ったアンドレだからこそ、日頃からプロレスの“職人”である世界王者レイスの経験と技量を認め、信頼していたのでしょう。
だからこそ誰もが恐れ、嫌がる場外でコンクリートの床に叩き着けられる危険なボディスラムで自分を投げる事をレイスに許したのではないでしょうか。
アンドレのマネージャーだったフランク・バロアは「猪木は(試合で)アンドレにレスリングをさせるから凄いぜ!」と語っていました。それは同時に“地元のヒーローである対戦相手の持ち味を引き出して引き出して何度もピンチに追い込まれながら、最後は辛うじて王座を防衛して次の防衛戦地に向かう”という過酷な防衛ロードを何年も歩み続ける“闘うチャンピオン”ことNWA世界ヘビー級王者ハーリー・レイスも同様で、まさに“Mr.プロレス”レイスだからこそ“大巨人”アンドレ・ザジャイアント相手にこれだけの一進一退の白熱した好試合を繰り広げられる事が出来たのです。
以上、今回はハーリー・レイスとアンドレ・ザ・ジャイアント。2人の偉大なLEGENDSがその全盛期に激突した試合の背景に迫って見ました。
Harley Race slammed Andre the Giant on outside of the ring !! Amazing shot from NWA world heavy weight title match at Texas Jan 1979.